It's Alright！ �� T ページ18
…俊がお疲れです。
事務所制作ではない外部の舞台公演、ベストアルバムの制作にプロモーション、新曲のMV撮影、歌番組ラッシュ、勿論通常のバラエティ番組収録…あ、宮田はソロラジオもあった。
その上、舞台稽古で演出家さんに怒られまくっているらしい。
《慰めて！》
送られてきたたった一言のメッセージに、こりゃ切羽詰まっているなと感じる。
ただでさえ気遣いと全力の人だからね。
何処かに文句でも言えたら気も楽なんだろうけど、今回は宮田が自ら選んだしんどさだからどうしようもない。怖めの演出家さんと聞いて、怒られるのも覚悟してたし。
特に、今回の舞台は絶対演りたい！って言ってた。
後から、《う〜、他にあの仕事渡したくなかったなぁ、仕方ないけど〜っ！！》なんてのもあったんだけどね。
舞台はスケジュールをたくさん押さえられるから、他のお仕事にどうしても制限出ちゃう。
《いい子いい子〜。》
《タマ〜、抱っこしてっ！》
《ヨシヨシ。抱っこ〜。》
《タマ〜、いっぱいちゅー。》
《はいはい、いっぱいちゅー！》
《う〜っ(泣)タマ〜！》
あらら、甘えんぼ炸裂。疲れてんね〜。
とにかく、こちらもエア抱っこしながら返信。
納得したのか、寝落ちしたのか、その夜宮田からの返事はなかった。
本当に一緒にいてやりたいけど、心だけは一緒にいるから。今は負けないで。
日常的に、先輩たちのライブや舞台にバックで付くことが仕事だった俺たち。
宮田は舞台が大好きになって、デビュー前から自分でもよく観に行ってたな。
勿論、俺も、俺たちもライブが大好き。
お客さんの反応を楽しみながら、上がっていくテンション。共演者とのコンビネーション。舞台の仕掛け、照明、音響、衣装…その日その時間でしか味わえない興奮と幸福。
もっと楽しませたい。
もっと驚かせたい。
もっと喜ばせたい。
もっと輝きたい。
それはライブでも、舞台でも。
例え新しいジャンルだとしても、
いつもよりかなり忙しい時期だとしても、
諦めなければならない仕事があったとしても、
このコロナ禍で賛否両論あって、たくさんのことに細心の注意を払わねばならないとしても。
いつ中止になってもおかしくない状況だとしても。
多くのジレンマを抱えると覚悟の上で、今こそ、宮田は観客のいるショーを選んだ。
好きなものは好きと笑う為に。
Show must go on.
社長の夢は、宮田の中にも確かに受け継がれている。
それは、青くても熱い、彼の信念。
fin.
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作者名：みあん | 作成日時：2021年5月11日 23時
