ひとくふう荘14 (ページ4)

今日:1 hit、昨日:11 hit、合計:11,713 hit

4 ページ4

トシコさんはそう話すと、ツチノコさんに深くお辞儀をした。

あ〜ん、ありがとキツネさ〜ん！
僕の為にご一緒に頭を下げていただくなんて、畏れ多いけど嬉しいよぉぉっ！！

ん？？てか、神様のお遣いのキツネさんがこんなに丁寧なお言葉でお願いするということは、ツチノコさんって一体…。
あら？ツチノコさんが威嚇音を止めて、細い舌をピロピロしてらっしゃる。

『…赦すって。師匠たちとの駆けくらべ楽しかったんですって！』

突如お口を開いたのはクラタさん。
みんなお目目ぱちくりしてクラタさんに注目した。
クラタさんは、驚きのお顔でみんなとツチノコさんをキョロキョロ見回す。

『…え、俺だけ聞こえた？』

『私は分かるが…クラタ、お前はかなり耳がいい。』

…え？とにかく僕、赦してもらえたってこと？

あ、ありがと、ツチノコさーーん！！

すぐさま立ち上がって思いっきりしっぽぶん回してお礼言っちゃいます！
ツチノコさんは僕の様子を見て、またお父さんのお膝に仰向けに寝っ転がった。真っ白なお腹がやけにピカピカ光って見えた。
…あらら。ひょっとしたら照れてるのかなぁ？

『《構わぬ、わらわもどうせ暇を持て余していた…また来よ》だそうです。』

クラタさんがまた通訳して下さいました。

う〜ん。なんだか不思議不思議…。
キタヤマさんやニカさんは徐々に聞こえるお力が強くなったはず。

ね、キツネさん。クラタさんは一気に聞こえるようになってるね。ツチノコさんのお声、僕でも分かんないのに。やっぱり記憶さんのお声を聞いてらしたからちゃんねるが合ってらっしゃるの？？

『そうだねぇ。けれど、いにしえよりのアヤカシの声さえ聞こえるとなるとかなりの耳だよ？

ツチ媛様は私がキツネとなった頃には既にいらしたから。ハニヤス媛様やカヤノ媛様が可愛がっていらっしゃるほどの古株さ。

古のアヤカシたちは波長がかなり狭い。これを聞き取るからにはクラタの中にも何らかの古の記憶が入り込んでいるのであろ。
…ただ、古の記憶はもう余程のことがなければかなり薄れているので珍しいことだが……。

まぁ、便利で良いではないかえ。』

一瞬何か考えていた間があったけれど…トシコさんはその間を打ち消すように最後に軽くういんく。
ういんくがお上手になってきたね、キツネさん。

『クラタくん、強力な通訳ってことだ。ありがてぇ。』
『いえいえ…え〜。とりあえずこの状況に１番ビビってるのは俺だってことだけお伝えしておきます。』