I need you！ vol.4 (ページ12)

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How？ T ページ12

ネクタイ結ぶのってムズイよね。

高校入ってブレザー着られるのはいいけど、リハの行き帰りはいつも制服だから帰りは鏡見ながら四苦八苦。
着崩してると事務所に怒られちゃうんだもん。

で、先に着替えてミツと話してた宮田を捕まえる。
構ってほしくて甘えたかったのは内緒。

『…ネクタイ結べねー。やって？』

『よし。お兄さんが結んでしんぜよう。』

宮田はニコニコで俺の前に立った。

『…ん。』

嬉しそうにネクタイを両手に取るのに身を任せる。
が、真正面至近距離で宮田が顔を近付けてきたのには、自分で言っといて思わず焦った。

…きゃあ！これ、新婚の奥さんが旦那様のネクタイ結んでくれるやつじゃん！

『こうやって、こっちは持ったままこっちでクルッと巻いて〜…。』

宮田は呟きながら懸命にネクタイを弄り出す。
シャンプーの香りが鼻の奥をくすぐった。

睫毛長いなぁ…なんて顔見たり、不器用だなぁなんて指を見たり、時々周りを気にしたりして、どうにも視線のやり場に困る。どうにもニヤつく。

……でもどうにも嬉しい。

そか。幸せってこういうこと？

で、ぼぉっとただただときめいていると突如宮田がネクタイから両手を離した。

『ん〜、ごめん！ちょっと分かんなくなった。』
『は？』

いきなり突き放された気がしてちょいとがっかり。

…だけど次の瞬間、背中が温かくなった。宮田は鏡の前に俺を立たせて覆い被さってきたの。

ぅえぇぇ！？
こ、こんなとこで抱きついてくる？メンバーの前で…っ。

『あ、こっちからなら分かる。ちょっとじっとしてて？』

どうやら、いつも自分がやってる角度からなら結びやすいらしい。
鏡の中には、真剣にネクタイに取り組む宮田と、その両腕に捕らえられ真っ赤な顔で硬直してる俺。

……ああ！今きゅんとすんな俺。意識すんな俺！
もっと惚れてまうやろぉぉぉっ！！

『できた！…どうよ？寸分の狂いもない見事な結び目！裕太が楽しい高校生活送れますようにってお願い込めといたからな？』

時間を掛けて丁寧に整えられた結び目は、確かに今まで結んだ中で１番綺麗な仕上がり。
ネクタイくらいでドヤ顔すんなと毒づきたいところだけれど…。

『ん…ありがと。』

気付けば自分でもびっくりするくらい嬉しくて、めっちゃ素直にお礼を呟いていた。

『裕太くん可愛いな！』
『キモい。』

ったく。お願いなんか込められたら２度とネクタイ解けねーじゃん。宮田のバーカ…。

fin.