Oh！Brothers！ K ページ16
……噛んだ。
噛みましたよ、ガッツリ噛みました。
首を。宮田の首筋を。しかも汗だくの汁だくのやつを。
配信ライブの映像を、みんなで観ながら座談会録音中。ま、盛り上がるわな、ここは。
『宮田しょっぺぇって噛んでやった。』
とか言ってたな、そういや。歯を当てるだけでいいんだけど、舌ベロ当たるくらいガッツリ食ったってことね。味わっちゃったのね、ステージ上で。
恐るべし、タマ。いや、玉森監督。
三部作の最後の最後で強烈にかましてきやがった。
だが、録音中だと言うのに俺は思わず黙ってしまう。
…このやろ、藤北よりセンセーショナルなことしやがってぇっ！
ユニット演出担当としちゃ、何故か負けた気分だ。こっちはせっかくベッドまで用意したってのに、首噛んでキッスまでされたら、もう生本番するしかなくなるじゃねーかっ！
もう少し過激に、なんて言わなくて良かった。
宮玉たちがここまでやってて、俺たちまで組んづほぐれづやってりゃ、流石に、もう見ちゃダメなライブになっちゃうじゃん。
ま、まあ上品な色香くらいにしときたいよな、うん。
格は俺たちのが上だ。あのオーガンジーの演出も羽根も美しくて、自分でも見惚れた。お色気を追究してきた俺たちのユニットを舐めんなよ。
『最終奥義、皆の者、想像で感じよっ！』……みたいな。
ふと気付くと、タマが笑みを浮かべていた。
話題を掻っ攫った勝者の…いや、むしろ名実共に宮田を自分のモノにしたという満足の笑み。
あのBLドラマに続き、渾身の作品を完璧に世に出すことで、２人の関係まで伝説に仕上げた。
最終作は、笑いとこれまでの愛と嫉妬に猛り狂う表現。しかも、妖艶で美しいラストシーンは胸に刻まれる。
宮田のよく伸びる優しい声とタマの柔らかな少年期の声の調和、そして演技。２人の過去と現在を見てきたファンが知る関係性とそれへの理解。この２人だからこそ創れた世界観。
まあ、今回も引き分けにしといてやるか。
負け惜しみ？いやいや、ご冗談を。
実はぶっちゃけこの作品楽しみだったんだ。単純に早く観たかった。弟たちの恋路の集大成を。凄かったよ、流石だね。
…そう、何を隠そう俺もファンなの。真っ直ぐに互いを追い求め成長してきた、２人の真摯な恋のファン。
だから喋れない。気持ちが入りすぎて。
弟たちよ、兄ちゃんは感動したぞ。
だからさ、コレで終わりなんて言わずにまた作れよな、タマ。
…今度はもっとスゲー演出で迎え撃ってやるからさ？にひひ。
fin.
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作者名：みあん | 作成日時：2021年1月9日 19時
