ひとくふう荘４ (ページ44)

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ドンブリさん、こおひい飲みませんか？ページ44

街の中を久しぶりに歩くと、たくさんの知らない匂いや音にびっくりします。
来る度に新しいから、前に来た時にやっと《慣れたぞ！》と思っても、また違うの。
人間は新しいものが大好きだよね。

…かと思えば、知ってる匂いのもののお名前だけ付け替えてありがたがるのも面白い。
例えば、絶対《ほっとけえき》の匂いなのに、《ぱんけえき》になって、今は《ほっとく》だっけ？内容はほぼ同じものなんだけどな。
不思議不思議〜。
お名前だけ変えれば新しいものになるのかなぁ？

……あ、どうも、ドンブリです。
今日は街に来ています。
ヨコオさんのお店に来てくれるお客さんが、犬の美容サロンを開いたとかで、僕を連れてきてくれたの。

あろまオイルでマッサージとかぁ、あろまシャンプーとかぁ、泥ぱっくとかぁ……き、気持ち良くてうとうとしちゃった。
いやぁ、至福でした…ま、お高いみたいなので、犬生に１度のえすて体験です。今日は開店サービスで半額以下なんですって！それでも、なかなかのお値段だったみたいだけど…。

お客さんへのお付き合いに加えて、僕へのご褒美のおつもりで連れてきてくれた、ヨコオさんのお気持ちが嬉しいな。

『ドンブリにはお世話になってるからにゃ。俺がお化けダメな分、ドンブリに申し訳なくてさ……いつもありがとね〜。』

眼鏡の奥のヨコオさんの瞳が優しい。

ねぇ？ヨコオさん。僕も本当は怖がり屋さんだよぉ。

でも、僕はみんなの為に美味しいご飯作ってあげたり、お掃除してあげたり、うたた寝してる人に毛布を被せてあげたりはできないもん。
そういうの、テキザイテキショって言うんでしょぉ？
僕にできるのは、お家の警備と、情報を集めることと、アヤカシさんや動物たちとお話することくらい。

だからね。お役に立ててるなら嬉しいけど、ヨコオさんが僕に申し訳ないなんて思う必要はないんだよ？

僕は綺麗になった身体をヨコオさんのお胸にぐりぐり。

ヨコオさん、大好き。
みんなを叱りつけることもあれば、急に自信がなくなってお役に立ててるか不安になるのね？
とっても器用でよく気が利く人なのに。

みんな何か無くしたり急に必要なものができるとまずヨコオさんに言ってみるの。そしたらすぐ出てくるよ？
ペットカイゴシの資格を持ってるくらい、動物も大好きなんだって。分かんないけど、僕は将来ヨコオさんにめちゃくちゃお世話になるのかも？

…あ、ガヤさんはね、ヨコオさんのおかげで助かったことがあるの。