ひとくふう荘 (ページ22)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:30,777 hit

ドンブリ、デキた？ページ22

『デキたな。』

……みんな真剣なお顔で一斉にこくん。

みんなと言っても、タマさんとミヤタさんを除いた５人。
地下の大きなお部屋に５人が集まって、今日はしっかり扉閉めてコショコショ内緒のお話。

僕？僕は何故かヨコオさんに抱っこされて、ここまで連れてこられたの。

ヨコオさんお休みなの。どうやら、ただ抱っこしたかっただけみた〜い。
朝からずっとヨコオさんにご飯貰ったり、おやつ貰ったりぃ…あ、代わりに僕はロープのおもちゃやヘンな音の鳴るおもちゃでヨコオさんと遊んであげてます。今日の僕のひと工夫！

ヨコオさんは、ご飯で人を幸せにするお仕事してるんだって。
ご飯は大事！！お腹空いてると哀しくなったり怒りたくなるもの。でも、ご飯作る人はご飯はお仕事の一部だから、いくら食べるのが好きでもしんどくなる時があるって。

こないだから、ヨコオさん、お家のお台所でもたくさん考えごとしてるの。
新メニューとおかねとお時間と従業員さんの兼ね合い？とか……お試しのご飯を作っては計算したりして溜め息ついてる。ご飯のお仕事も大変だなぁ。
僕と遊んで気持ちを柔らかくしてね、ヨコオさん！

『マジでデキたの？あの２人。』
『マジじゃね？こないだから妙な間の取り方してるし。』
『チラチラ見つめ合っては、赤くなって俯くって……いやもう少女漫画よ。』

そこでニカさんが重かったお口を開く。

『……俺の衝撃的目撃談、聞きたい？』

みんながニカさんを一斉に見て、また同時にこくん。

『朝早かったのよ、昨日。ちょっと遠いキャンプ場でイベントやるから。
で、車乗ってて、あそこの公園通りがかったの。そしたらさ…ドンブリの散歩しながら２人が……。』

『ふ、２人が？？』

みんな、ゴクリと息を飲んだ。

『手ェ繋いでた。』

ああぁぁぁ〜って声出して、項垂れたり仰け反ったり、バタバタ。

『まあ、前から距離は異常に近いけど。《公園で２人きりで手を繋ぐ》は、やったわ。やってるわ。』
『そんで、微笑み合ってた……。』
『ますますやないかっ。』
『そっか〜、デキたか〜っ！』

……んふふ〜！僕、唯一のデキた瞬間の目撃者だも〜ん！
このお話し合いに参加させてもらう資格はあるかもしれない。いかんせん、人間の言葉でお話できないのが口惜しいです〜。あー、お話ししたいっ！

あの神社の隣の公園で繰り広げられた、タマさんとミヤタさんの可愛くてキラキラのお時間を、みんなに教えてあげたいなあ〜っ！！