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『あっ!朝のドンブリの散歩は2人で行くので、まぁどうしても恋人気分になるのは大目に見てほしいんだけど〜。』
『んふ。友だちの日でも1日1回くらい手ェ繋ぎたいねーって。』
ポカァンとしていたみんなの中で一番早く反応したのはガヤさん。
『い、いいの?長年片想いしてきたのが晴れて恋人になれるのに。俺たちの為に無理しちゃダメじゃない??』
『ん〜。言ってもさ、俺とタマにとっては恋人と親友の違いって、一番近くでずっと一緒にいるって約束できるかどうかだったのかも。そりゃ触りたかったし触ってもほしいけど、絶対一緒にいられてペア扱いなら、みんなにとっても結局今までと変わんないだろうし。』
『じゃ、決まった日に我慢せずたくさんイチャイチャしたほうが楽しみが増えるし、変にケンカとかしないかなと思うんだよね!
それにみんなが出て行く寂しさのほうが、2人きりになれる喜びより大きい……あ、家賃収入も大事!俺、リノベで貯金すっからかんだもん!』
僕は何故かまたまた楽しくなってきて、また『わんっ!』。
そうしたら、ヨコオさんが後ろからご両人の肩をぎゅうと抱き締めた。
『みんなといてもいいんだにゃ、俺!』
で、我に返ったみんな。
立ち上がって思い思いのガッツポーズを繰り出す。
『よっしゃぁっ!!』
『良かったぁ〜。ひとりは寂しくなるでおぇりゃーせんなと思ってただに〜。』
『マジ嬉しいっ。一回覚悟しただけにマジでマジで嬉しいっ!』
『わん、わわんっ!!』
しっぽがぶんぶん回っちゃうよぉぉぉ〜!!
嬉しいよぉーーーっ!!!
みんなといる為に考えた、2人のひと工夫なんだね!
『ぅしっ!ご飯!安心したらご飯っ!』
涙を拭いながらヨコオさんが笑った。
『さ、自信作。豚ときのこのブルーベリー煮込み丼。風味の立つドライフルーツのブルーベリーを角煮の香辛料に加えて、ジャムも少し隠し味に。タマのおじいさんのミントの話聞いて、甘辛にもう少し爽やかさを足したらどうかと、最後にミントの葉も散らしてみました。召し上がれっ!』
お庭のみんとの葉っぱ、お父さんが植えてあったやつ〜!夏はたくさん生えちゃうからお父さん困ってたの。ご飯に使ってもらえたんだ!
『〜〜〜っま!!』
『中華で欧風で和風でデザート…。』
『ミントいいわっ!!効いてるわ!』
『ドンブリ最高〜っ!』
ん?僕のこと??
首を傾げた僕に、ヨコオさんがナデナデしながら囁いた。
『ん?キミは、最高で最強。』
fin.
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作者名:みあん | 作成日時:2021年10月3日 15時