ひとくふう荘 (ページ3)

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僕も見てる…というか、タマさんが必ず観る朝の短いアニメの犬役もしてるらしくて。
お父さんがいる時から、タマさんとよく一緒にお家に来て、《ね？吠えてみて！》ってお願いされてたな。
でも僕、知ってる人には吠えないよ？だから、結構ガッカリさせちゃってたかも。

まあ、この中では一番お家に来てるから、僕ともすっかり顔馴染み。
確かに色々な声出せるんだよね。
特にタマさんと２人きりの時は、子どもみたいな甘えた声だったり、いけめんボイスだったり。タマさんがうっとりしちゃうくらいの七色の声。
ツンツンして、よくミヤタさんに文句言ったり、困らせてたり、体当たりしたりしてるけど、ミヤタさんが帰った後は、タマさんが頬杖付いてぼんやりしちゃうから、ちょっと心配なくらいなんだよ？

でも、今日からは一緒に住むから、タマさんもずっと元気でいられるね！
タマさんが嬉しそうにミヤタさんを見てるの見ると、僕も嬉しいなぁ。

『腹減った〜っ！ご飯どうする？』
『ご飯炊いてないなぁ。今日は出前でも取ろうと思って。』

ガヤさん、割と暢気さんなの。お顔はキリッとしたどーべるまんみたいなんだけど。

『あ、袋ラーメンあるじゃん。俺作るわ！』

今日はキタヤマさんが名乗りを上げた。
…僕は〜？

『冷蔵庫の食材使ってね〜。』
『おし、豪華に一工夫加えますか〜！』

腕まくりしたキタヤマさんが、冷蔵庫を物色し始めた。

『全体の食費は徴収するけど、個人で買ってきて食べるものには名前書いといてよ？』
『カレンダー持ってきたからさ、みんな予定書き入れて？ご飯の人数とか把握しなきゃね。』

…僕も〜！

『ありゃドンブリ、お散歩の後でしょ？待っててね？』
『ドンブリのご飯とか散歩とかタイムスケジュールも書いてよ。行ける人が行けばいいし。』
『おやつはどれくらいあげていいの？』

みんながわしゃわしゃ僕を撫で始める。
どうやら触りたくてうずうずしてたみたい。

『あんまり決めてなかったけど…この調子じゃみんなドンブリをおやつ責めにしそうだから決めとくか。』

色々具体的に決めなきゃいけないことが出てきて、みんなワクワクしてる。
ミヤタさんはニコニコしながらレポート用紙とペンを出してきた。

ああ、新しい生活が始まるんだなぁ。

とりあえず、僕はかなりの人気者みたいで安心しました。

……それより、今はお腹空いてきたから、早くお散歩連れてってほしいんだけどね？

fin.