ピンチ×ガ×チャンス ページ8
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「で、お前さんは」
と、出ていってしまった2人を仕方なく見送った船長が私を見ながら口を開く。
(あっ……しまった)
先程の2人の話の流れについていくのに精一杯で、どうやって自分の事情を説明しようかと、考えていなかった…!!
というかそもそも自分自身何故こんな場所にいるのか、
ここがどこなのかもわかってないのに「気づいたらここにいたんです」なんて、小学生でももっと上手い言い訳ができる。
「……えっと」
「船長!まずいです!予想以上に風が荒れてます!」
「!!」
私がなんとかましな言い訳をしようと、
しどろもどろになりながら口を開いたと同時に、後ろの扉が勢いよく開き、慌てて船員が飛び込んで来た。
操縦室から見える外の波は船員の言う通り強風と相まって、物凄い濁流を作り出している。
「あんたの話は後だ!2人とも今は待合室に戻っておけ!」
血相を変えた船長が私たちにそう告げ、急いで操縦を他の船員から取り上げどこか楽しんでいるようにも見える表情で舵を回した。
それを見た私とゴン君は、間髪入れずに操縦室を後にし斜めに傾く待合室への廊下を全力で走っていく。
その時、
はた、と何か聞き覚えのある歪な音が聞こえて私はがむしゃらに振りかぶっていた腕を止めた。
(……この音、どこから)
「ゴン君!先に行ってて!」
ゴン君の「え!?」という素っ頓狂な声を後ろで聞きながら、
私は来た道を戻り近くにあった船底に向かう為の階段をタッタと降りていく。
息を切らしながら降りたそこには、私が思っていた以上の壊滅的な光景が広がっていた。
(──────これは)
少しずつではあるが、確かに船底に流れ込んできている海水。
これが数分続けば、荒波を回避できたとしても船底に入ってきた水の重さで船が転覆してしまう可能性がある、とても危険な現状が私の心臓の鼓動を何拍も速めた。
船底には人っ子1人おらず、どうやら船員の大半が上甲板へと上がり帆をあげるために大人数でロープを引っ張っているのだろう。
「誰かいるのか!」
「!」
階段の上から聞こえてきた声に、私はハッと意識を取り戻し階段を駆け上がった。
「来てください!水が流れ込んでる!」
「何!?」
急いで降りてきた数人の船員を引き連れて、穴が空いてしまった場所へと足を早める。
目の前の光景に私はまた息を呑んだ。
横隔壁というモーターを積んでいる横の壁までもに微小な穴が空いており、このままだと船を操縦することすら不可能になってしまう状態に陥っていたのだ。
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実珠 - あぴさん» はい!!とても楽しみです!!あーキルア格好いいなぁー!!!自粛明けで大変かと思いますが是非更新頑張って下さい、応援してますよ! (2020年6月8日 22時) (レス) id: 455069b8f0 (このIDを非表示/違反報告)
あぴ(プロフ) - 実珠さん» お久しぶりです〜今回もコメントありがとうございます^-^ 自粛明けて忙しくなりましたしね〜これから本格的にハンター試験も始まりますので、また読んでいただければ嬉しいです! (2020年6月8日 14時) (レス) id: 672d662638 (このIDを非表示/違反報告)
実珠 - あぴさん» お久しぶりです!学校行ってて中々見えませんでした…まとめて読んだんですけど久しぶりだからか余計に面白く感じました!やばい!面白い!!これからも応援してます! (2020年6月7日 19時) (レス) id: 455069b8f0 (このIDを非表示/違反報告)
あぴ(プロフ) - 璞さん» 初めまして、コメントありがとうございます!読んでいただき嬉しいです(^^)大変お待たせしました!私自身もやっと始まる〜!という感じです笑 全員キャラがいいんですよね……わかってくれる方がいて嬉しい…絵も褒めていただきありがとうございます、更新頑張ります^-^ (2020年6月5日 13時) (レス) id: 672d662638 (このIDを非表示/違反報告)
璞(プロフ) - あぴさんがみんな好きっていうのとってもわかります!!^ ^ 中でもアダルトリオはとっても素敵だと自分も思いました!、話は戻るのですが、、絵もとても素敵で本当に更新楽しみです、無理しないように頑張ってください(?)応援してます!!^ - ^ (2020年6月5日 0時) (レス) id: e8c51eabaf (このIDを非表示/違反報告)
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