カンキ×ナ×ホケン ページ26
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予想外のひと言に、思わず向かおうとしていた足を止める。
まさか向こうから声を掛けてくるとは、こいつも大したバカだなぁ。
まぁいいさ、それなら好都合ってもんよ。
「あ ああ、いいぜ」
予め用意していたことを悟られぬように、鞄からジュースを取り出す振りをして手に取ったそれをキルアに手渡す。
すると、奴は「キンチョーしてるのかなー喉乾いちゃって」と年相応の笑顔を浮かべながらオレから受け取った何本もの下剤入りジュースを次々と飲み干していくではないか!
おかしい。
1本目の下剤はもうとっくに効いているはずだし、こんなに飲んだら普通脱水を起こして死ぬ可能性もあるんだぞ……!
プパーッ!っという奴の爽快な飲み干しを見ることしか出来ないまま、突っ立っていると戸惑うオレを見透かしたように、奴が口を開いた。
「オレなら平気だよ、訓練してるから」
───────「毒じゃ死なない」
毒……?
こいつ、オレが何の薬を盛ったのかまではわからないのに、それでも平気で飲んだってのか!?
今までに感じたことのない、言いようのない心地よい悪寒がオレの全身を巡っているのを感じた。
とんでもねーぜ。今年の新人は。
それだけ、つぶしがいがあるってもんだ。
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ジリリリリリリリリリリリリリリリリッ
ビクッ、
突然鳴り響いたその誇張し過ぎた目覚まし時計のような音を聞いた私は、そのけたたましい音が鳴る方へと目を移した。
そこには、背広服のような恰好をしたいかにも紳士的な髭の男性が立っていて、一斉に振り返った私たちを確認すると、その鳴り響く時計を止める。
「では、これよりハンター試験を開始いたします」
男性のそのひと言に、周りの空気が先ほどよりも、張り詰められた糸がピーンと突っ張るようにただ静寂だけを引いていた。
フワッ、と立っていた太いブラウン管から優雅に降りた男性は「こちらです」と私たちに見えるように、奥に続く果てしなく続く暗闇を指し示したと思うと、
靴先を鳴らしながらその長い暗闇へと向かい歩き始める。
「さて、一応確認しますが──────」
と、男性は奥にいる私たちにも聞こえる声量で、ハンター試験の概要を話始めた。
先程のように再起不能になった受験者を聞き、やはり腕を消されたあの男性はもう試験を受けられないのか、と少し肩を落とす。
ハンターがそれ相応の力でなれるものではないと、改めて実感させられる。
─────もう、後にも先にもやるしかない。
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実珠 - あぴさん» はい!!とても楽しみです!!あーキルア格好いいなぁー!!!自粛明けで大変かと思いますが是非更新頑張って下さい、応援してますよ! (2020年6月8日 22時) (レス) id: 455069b8f0 (このIDを非表示/違反報告)
あぴ(プロフ) - 実珠さん» お久しぶりです〜今回もコメントありがとうございます^-^ 自粛明けて忙しくなりましたしね〜これから本格的にハンター試験も始まりますので、また読んでいただければ嬉しいです! (2020年6月8日 14時) (レス) id: 672d662638 (このIDを非表示/違反報告)
実珠 - あぴさん» お久しぶりです!学校行ってて中々見えませんでした…まとめて読んだんですけど久しぶりだからか余計に面白く感じました!やばい!面白い!!これからも応援してます! (2020年6月7日 19時) (レス) id: 455069b8f0 (このIDを非表示/違反報告)
あぴ(プロフ) - 璞さん» 初めまして、コメントありがとうございます!読んでいただき嬉しいです(^^)大変お待たせしました!私自身もやっと始まる〜!という感じです笑 全員キャラがいいんですよね……わかってくれる方がいて嬉しい…絵も褒めていただきありがとうございます、更新頑張ります^-^ (2020年6月5日 13時) (レス) id: 672d662638 (このIDを非表示/違反報告)
璞(プロフ) - あぴさんがみんな好きっていうのとってもわかります!!^ ^ 中でもアダルトリオはとっても素敵だと自分も思いました!、話は戻るのですが、、絵もとても素敵で本当に更新楽しみです、無理しないように頑張ってください(?)応援してます!!^ - ^ (2020年6月5日 0時) (レス) id: e8c51eabaf (このIDを非表示/違反報告)
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