シオカゼ×ガ×キケン ページ3
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海の流れが緩やかになってきた頃、私は少年に助けられ元々向かうつもりだった待合室に来ていた。
部屋の中は想像していた以上の大惨事で、辺り一面青ざめた屈強な男の人たちが泡を吹いて倒れていた。
私がこんな事態にならなかったのは、全部彼のお陰だ、と部屋の人たちの容態を見て回る少年を見る。
まだ若い、小学生の高学年くらいの歳だろうか。
さっきは混乱していてよくわからなかったが、思っていたよりも歳下の彼に助けられたことに、少しだけ不甲斐なさを感じる。
部屋の中を見渡すと、私と少年以外にも何人か泡を吹いていない人たちが目に入った。
1人は天井に吊るしたハンモックで涼しい顔をしながら本を黙読する綺麗な顔立の青年。
もう1人は隠しきれてないニマニマ顔でいやらしい本(多分)を読んでいる、私より少し歳上だろうか、レンズが小さなサングラスをかけた男性。
ハンモックの青年に至っては、あのうねりの中、どうやってそこにとどまっていたのだろうと不思議に思う程だ。
「お水、もう大丈夫?」
感心しながらハンモックの青年を見ていると、片手に水の入ったカップを持った少年が私の顔を覗きこんだ。
「あっ……うん、ありがとう」
「どういたしまして!困った時はお互い様だよ!」
少年はまたニカッと眩しい笑顔を見せると、部屋に水いっぱいのバケツを抱え入ってきた船員らしき人物に「カツオさーん!」と駆けて行った。
(なんてコミュニケーション力の高さだ……凄いな)
と彼にも感心の意を示していると、髭をはやしてキセルを吹かすいかにも船長らしき男性が部屋に入り、私たちを一瞥して口を開いた。
「ふふん、今年はちっとは骨のありそうな奴がいるようだな」
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まだ酔いが冷めなかった私は、頭を冷やすためにも部屋から出て上甲板に出ていた。
元々偏頭痛持ちであるからかもしれないけど、やはり悪酔いしてしまい頭痛が中々引かない……と頭を抱えながら潮風を浴びていると、後ろから見知った話し声が聞こえてきて、私は振り向いた。
少し離れた場所で、先程の船長と私を助けてくれた少年が何かを話しているようで、気になった私はそっと距離をつめる。
「もっとでっかい嵐が来るね」
確信にも似た少年の一言が聞こえてきて、私は何故かわからないけどあぁ、そうか。と納得してしまった。
彼はきっと嘘をついていない。
顔はよく見えないけど、きっとそうだ。
船長が何かを訪ねると、少年は近くに飛んでいた鳥を指さしながら何かを呟き、それに船長は驚いた様子で肩を揺らした。
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実珠 - あぴさん» はい!!とても楽しみです!!あーキルア格好いいなぁー!!!自粛明けで大変かと思いますが是非更新頑張って下さい、応援してますよ! (2020年6月8日 22時) (レス) id: 455069b8f0 (このIDを非表示/違反報告)
あぴ(プロフ) - 実珠さん» お久しぶりです〜今回もコメントありがとうございます^-^ 自粛明けて忙しくなりましたしね〜これから本格的にハンター試験も始まりますので、また読んでいただければ嬉しいです! (2020年6月8日 14時) (レス) id: 672d662638 (このIDを非表示/違反報告)
実珠 - あぴさん» お久しぶりです!学校行ってて中々見えませんでした…まとめて読んだんですけど久しぶりだからか余計に面白く感じました!やばい!面白い!!これからも応援してます! (2020年6月7日 19時) (レス) id: 455069b8f0 (このIDを非表示/違反報告)
あぴ(プロフ) - 璞さん» 初めまして、コメントありがとうございます!読んでいただき嬉しいです(^^)大変お待たせしました!私自身もやっと始まる〜!という感じです笑 全員キャラがいいんですよね……わかってくれる方がいて嬉しい…絵も褒めていただきありがとうございます、更新頑張ります^-^ (2020年6月5日 13時) (レス) id: 672d662638 (このIDを非表示/違反報告)
璞(プロフ) - あぴさんがみんな好きっていうのとってもわかります!!^ ^ 中でもアダルトリオはとっても素敵だと自分も思いました!、話は戻るのですが、、絵もとても素敵で本当に更新楽しみです、無理しないように頑張ってください(?)応援してます!!^ - ^ (2020年6月5日 0時) (レス) id: e8c51eabaf (このIDを非表示/違反報告)
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