【あんスタ】甘い砂糖と切ない涙【短編集】

〃『指輪とは呼べないのにね２』 ページ39

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肯定されてもこういう"女の子"したものを好くのは慣れていないのでソワソワした気持ち。輝かしい光景の映る雑誌に触れているのが少し落ち着かなく、いやもしくは動かないという行為が出来なくなったのか慌てて手を自分の身体に戻す。と、紙に掠った指先へ鋭い痛み。



「いっ、」



やってしまった。小さな傷なのに嘘みたいに痛い。いたい。これが起きた後は恐る恐る紙に触れるくらい嫌なことなのに忘れた頃にやってしまうのだ。チラリと痛みの源を見てもう片方の手で覆う。こちらを窺(うかが)う彼女に伝えると先ほどの私とは違った種類の慌て方をして⋯⋯鞄を漁り始めたらしい。傷に意識が向いていて視界の端で確認した。



「ほら、手ェ出しなさい！絆創膏貼ったげるから！」



強い口調の要求に軽いうめき声のようなものを出して応える。素早くそれでも丁寧に巻いてくれた。不思議なのだが、絆創膏を貼ると痛みがほとんどなくなる。キツくない？と聞かれたので大丈夫ありがとうって。



「助かった⋯⋯。紙で切るのすっごい痛いから、絆創膏すぐ出してくれる嵐お姉ちゃんに感謝です⋯⋯！」

「フフフ、あんたには頼れる優しいお姉ちゃんがいつでも側にいるからね」

「へへ、ありがとう」



かわいいデザインの絆創膏。痛みはすっかり忘れて指を見つめた。ウン十万もするダイヤの指輪よりもすぐ買えるような絆創膏の方が何百倍も嬉しいと思うの。貴方がくれたから。貴方が触れたから。貴方をより近くで見れたから。



「私、こっちの方が嬉しいかも」



小指を掲げるとお姉ちゃんは目をぱちくりさせて。ぎゅーってヤダかわいいって抱きしめてくれた。最高に幸せなの、私。嵐お姉ちゃんといるとね、心が忙しなくて思わず飛び回りたくなるの。なんでだろうね？幸せだって好きだって気持ちをいっぱい込めるから、これからも側で。


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七種茨『警鐘１』(砂糖少なめ)→←鳴上嵐『指輪とは呼べないのにね１』(砂糖少なめ)

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