衣更真緒『偶然1』(砂糖少なめ) ページ22
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「おっ、佐々木〜!」
後ろから名前を呼ばれた瞬間、振り向かなくてもこの明るくて聞きやすい声の主が誰かすぐにわかる。案の定私の心臓はドクッと音を立てた。
「い、衣更くん⋯⋯と、凛月くん」
緊張しながらも振り返ると、衣更くんとそしていつも通り衣更くんにおぶられた凛月くんがいた。凛月くんの顔は見えないけれど、特に反応がないから多分寝ているのだろう。
見慣れた光景だが、私と衣更くんは顔を合わせて笑い衣更くんが近くに来るのを待つ。
「よお、今帰るとこか?」
「うん」
こちらまでつられるような明るい笑顔が眩しくて思わず俯いて歩く。
「そういえば帰り、私たちよく会うよね」
「あ〜、確かにそうだな。⋯偶然でも、俺は佐々木と話せるから嬉しいけど」
「えっ?と、あ、ありがとう?」
「⋯ふふっ」
「⋯⋯⋯え、」
声がする方を見ると、肩を震わす凛月くんがいた。ゆるりと笑っている凛月くんは私側に顔を向ける。
「凛月、起きてたのか」
「誰も寝てるなんて言ってないけど?」
そう言いつつ、くつくつと喉を鳴らす。今日の凛月くんはよく笑うな。私たちの会話はそこまでおかしかっただろうか。
「まあ、全部偶然だよ。ねえ、ま〜くん?」
「っおまえ⋯。まあ、そうだな」
「⋯起きてたのはたまたまってこと?」
「ふふ、まあねぇ」
「そっか」
そっかとは言ったものの、イマイチ凛月くんの言動の意味がわからない。その日は二人の会話が読めずにもやもやしたまま別れた。
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___のだが。
「凛月くん」
昨日の帰り凛月くんに「また会った時は血ちょうだいね」なんて言われたけれど。それを気にすることなく、二人の会話について聞くために私は凛月くんに会っていた。
「おい〜っす。どうしたの、聞きたいことがあるなんて」
「あのね、⋯昨日の会話が気になって」
「⋯⋯昨日の会話?」
首を傾げた凛月くんに、疑問をそのままぶつけた。『全部偶然』って、他にも偶然があったのか。何故衣更くんに同意を求めたのか。
私の疑問に目の前の彼は、昨日のように赤い目を細めて笑った。
「Aは変なところで鋭いよねぇ」
「⋯?⋯え、っと?」
「⋯⋯ま〜くんには、秘密だよ?」
*
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理音(プロフ) - ☆アスカ☆さん» こんばんは!お返事遅れて申し訳ありません。了解しました!遅くなるとは思いますがそれでも良ければ書かせていただきます、ありがとうございます。 (2019年11月20日 22時) (レス) id: 8e86f2162d (このIDを非表示/違反報告)
☆アスカ☆(プロフ) - こんばんは(^-^)/リクエストします。レオ君相手で内容はおまかせで涙多めと砂糖多めの二種類お願いしますm(._.)m (2019年11月12日 19時) (レス) id: bf7dd3bfe3 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - ヒナコさん» ありがとうございます!!実はコメント頂いた日にヒナコさんの有り難い言葉を見まして、天満光くんのお話を書きました。大好きだとずっと読んでると言ってくださり、そして長らく更新していなかったにもかかわらずコメントしてくださりありがとうございます! (2018年12月14日 22時) (レス) id: 8e86f2162d (このIDを非表示/違反報告)
ヒナコ(プロフ) - 今でもこの短編集大好きでずっと読んでます! (2018年12月9日 16時) (レス) id: 2c23b98d04 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - イカさん» えええめちゃくちゃ嬉しいです!!ありがとうございます!!!書きたいなと思っているキャラがいるのですがその人のストーリーをあまり読んでいないのでとても遅くなると思います。あまりに遅くなる場合は他のキャラで書きますので気長にお待ちいただければ嬉しいです! (2018年5月31日 18時) (レス) id: d0426cb47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:理音 | 作成日時:2016年10月30日 21時