No.52 ごめんな ページ8
「俺は、あんたが許せない」
涙を拭って、若武は小山田を強く睨んだ。
その目に、思わず背筋が震える。
「じゃあ、俺行きます」
そう言うと、その場を後にした。
そんな若武の背中を見て、その場に崩れ落ちた。
「もう、俺ダメだ……ここでサッカーできねぇな…」
頭を両手で抱えて、地面が濡れていくのをただじっと見つめていた。
次の日、曖昧な気持ちで彩はグラウンドへと入って行った。
「立花」
ジャージに着替えて更衣室を出ると、すぐそこに、小山田が立っていた。
封筒を1枚持って。
まだ着替えていない。
「キャプテン…」
「あの時の言葉は、忘れてくれ。ごめんな。……あと、これ」
持っていた封筒を彩に渡す。
彩は目を見開いた。
「っ……これ…!」
「俺は!……お前を傷つけてしまったかもしれない。あと、あるメンバーも。あいつを泣かして、思ったんだ。……俺、最低だ。って。こんなんじゃ、キャプテンなんてできない。それどころか、ここでサッカーやる資格すらない」
彩の言葉を遮るようにしていつもより大きな声で話す。
俯いていた顔を上げると、今にも泣きそうな顔で小さく言った。
「俺は、サッカーチームKZを辞める」
「そ、んな……」
「良いマネージャーに出会えて、良かったよ」
彩の頭を1度撫でると、砂を蹴ってグラウンドを出て行った。
彩は受け取った封筒に目を落とす。
そこには綺麗な揃えられた字で
『退団届』
と書かれていた。
72人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
徠楓 - とても面白いです!これからも面白い作品楽しみにしています! (2022年10月24日 16時) (レス) @page22 id: 096e7909ce (このIDを非表示/違反報告)
彼方 - 大好きです! (2021年12月24日 11時) (レス) id: be87187744 (このIDを非表示/違反報告)
彼方 - めっちゃ面白いからこれからも色々なお話待ってます! (2021年12月24日 11時) (レス) @page22 id: be87187744 (このIDを非表示/違反報告)
花奈(プロフ) - Raia。さん» ありがとうございます! (2019年1月28日 17時) (レス) id: c4cc4a66e9 (このIDを非表示/違反報告)
Raia。(プロフ) - おもしろい!頑張ってね!更新待ってるよ〜! (2019年1月28日 14時) (レス) id: 098a0cee36 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ