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No.51 最低 ページ7

「どうかしたんすか、キャープテン?」


息を整えて、慌てて振り向く。

少し離れた所で、若武が腰に手を当ててこちらを見ていた。


「わ、若武……。別に、何もないぞ」


じりじりと近づいてくる。

何故か足が動かない。


「嘘」


そして、不気味に笑った。


「ですよね?」


「……へ?」


大きな目で下から覗き込まれる。


「上杉がアーヤについて話し出してから、キャプテンがおかしかったのくらい、見てればすぐ分かりますよ」


「な、なんの話だ…?」


「とぼけないでくださいよ」


そう言うと、ちょうど背後にあった建物の壁に小山田を追い詰め、勢いよく自分の手を叩きつけた。


「あんた、アーヤに何した…?」


見たことのない、若武らしくない光のない瞳だった。


ぎゅっと唇を噛み、俯く。


先輩に対してのタメ口なんて、気づかないくらいだった。


「早く答えてください」


「……した…」


「え?」


若武が眉間に皺を寄せてもう一度耳を傾ける。


「……告白、した!」


顔が赤くなるのを実感した。

そんな場合ではないはずなのに。


「告白…?」


「っ……あぁ。若武たちに対してそういう感情がないなら、俺のこと少し考えてくれないかって…」


若武は先程の熱が冷めたみたいにぽかんとしてる。

そして再び口を開く。


「……んなの、無理矢理でも殺しながら過ごしてるんですよこっちは」


静かに呟くように言った。


「……アーヤの心は揺れやすいんです。だから、だから俺たちは、あいつのこと好きだから……めちゃくちゃ大好きだから、傷つけたりしたくないから…」


そこまで言って、若武の頬をつーっと何かが伝った。


若武が泣いている。


プライドが高くて、誰かに指図されるのが嫌いで、いつも堂々としている若武が。


好きな子を思って、泣いている。



_______なんか、好きな子を傷つけて、仲間を傷つ けて……。俺、最低だな……。


あの時言った言葉を心底後悔した。

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徠楓 - とても面白いです!これからも面白い作品楽しみにしています! (2022年10月24日 16時) (レス) @page22 id: 096e7909ce (このIDを非表示/違反報告)
彼方 - 大好きです! (2021年12月24日 11時) (レス) id: be87187744 (このIDを非表示/違反報告)
彼方 - めっちゃ面白いからこれからも色々なお話待ってます! (2021年12月24日 11時) (レス) @page22 id: be87187744 (このIDを非表示/違反報告)
花奈(プロフ) - Raia。さん» ありがとうございます! (2019年1月28日 17時) (レス) id: c4cc4a66e9 (このIDを非表示/違反報告)
Raia。(プロフ) - おもしろい!頑張ってね!更新待ってるよ〜! (2019年1月28日 14時) (レス) id: 098a0cee36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花奈 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年1月11日 22時

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