No.48 心配 ページ4
「アーヤ、聞いてるのか?」
若武の声で、勢いよく顔を上げる。
「ご、ごめん…」
授業が一通り終わって、少し長い休み時間に入ったので、一同はカフェテリアに集まった。
久々の集合で、だいぶ気分の上がっていた彩だったが、自主練習のときのあの言葉が離れず、ぼーっとしていたようだ。
「ったく…ちゃんと聞けよー?」
「うん…」
申し訳なさそうに頷く。
「ってことで、そろそろ授業始まるな。解散!」
若武がばっと両手を広げると、各々教室へ戻って行った。
「?どうした上杉センセ」
「え、いや。立花…まただなと思って」
カフェテリアを出ていく彩の背中を上杉が見ていたのを、すかさず黒木が声をかけた。
「でも自分が何か言ったらまた合宿の時みたいになる、と?」
「まぁな」
黒木は軽く微笑むと、上杉の肩に腕を乗せた。
「じゃあ代わりに俺が言ってきてやろう」
「あぁ…」
「珍しく素直だな。ま、帰りにアーヤのとこ寄ってこうぜ。授業戻るぞ」
「そうだな」
教室に続く階段を上って行った。
下塾を知らせるチャイムが鳴ると、ぞろぞろと各教室から生徒が出てくる。
黒木と上杉は早々と教室を出て階段を下り、彩のいるクラスへと真っ先に向かった。
まずは教室の前に待機して出てくる生徒を見て、彩が来るのを待ってみる。
だが、彼女は一向に出てこなかった。
ほとんどの生徒が出て行った後、教室を覗くと、鞄を枕がわりにして机に突っ伏す彩がいた。
2人は慌てて彩の所に駆け寄った。
「アーヤ、具合悪いの?」
「大丈夫か!?」
ばっと顔を上げると、目を見開いて驚く。
「だ、大丈夫…。2人とも、どうしてここに…?」
顔が少しだけ赤い気がした。
72人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
徠楓 - とても面白いです!これからも面白い作品楽しみにしています! (2022年10月24日 16時) (レス) @page22 id: 096e7909ce (このIDを非表示/違反報告)
彼方 - 大好きです! (2021年12月24日 11時) (レス) id: be87187744 (このIDを非表示/違反報告)
彼方 - めっちゃ面白いからこれからも色々なお話待ってます! (2021年12月24日 11時) (レス) @page22 id: be87187744 (このIDを非表示/違反報告)
花奈(プロフ) - Raia。さん» ありがとうございます! (2019年1月28日 17時) (レス) id: c4cc4a66e9 (このIDを非表示/違反報告)
Raia。(プロフ) - おもしろい!頑張ってね!更新待ってるよ〜! (2019年1月28日 14時) (レス) id: 098a0cee36 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ