No.62 決意 ページ19
翌日、目を覚ますと両親が嘆いていた。
「結構降ったなぁ…」
「そうね…雪かき大変っ!」
雪!!
休日ということでどことなくぼんやりしていた彩のテンションはいっきに急上昇した。
慌ててベッドから下りると、すぐにカーテンを開けた。
真っ白だ。
他の地方程ではないが、まぁそこそこ降る。
目を輝かせていると、1階から声がした。
電話だ。
「お電話代わりました、彩です」
『おお、おはよう。今日町体育館で陸トレするから、少し早めに来てもらってもいいか?』
受話器の向こうから、威勢のいい声がする。
彩は返事をすると、電話を切った。
「アーヤ、そういえばもう監督さんには。辞めますって」
「え」
「え、じゃないわよ。言うタイミング失ったら、先延ばし先延ばしになって結局またやることになっちゃうじゃない」
「……うん」
彩は俯いた。
辞めたくない。
でも、どう理由を付けて言えばいいか、分からなかった。
「なんでそれ、お袋が決めるんだよ」
「裕樹?どうしたの、急に」
彩が何も言えないでいると、背後から声がした。
いつもよりトーンが低く、怒っているような声。
彩は振り返った。
「俺、KZのマネ初めてからこいつの成績下がったの見たことねぇよ」
「まぁ、そうだけど…」
彩は拳を握ると、引き結んでいた口を開いた。
「ママ、私、今後も絶対成績下げない。だからお願いします、KZのマネージャー、続けさせてください」
母は額に手を当て、ため息をつく。
我が子の反抗が、気に食わないのだろう。
「わかったわ、そこまで言うなら続けなさい。ただし、1度でも成績落としたら即辞めることになるのよ」
「わかってる。ありがとうママ」
彩は心底ほっとした。
これで、続けられる。
まだ、あのチームの中にいられる。
それにしても、何故あの場で兄が出てきたのか。
それが、不思議でならなかった。
彩は朝食を取り終えると、裕樹の部屋をノックした。
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徠楓 - とても面白いです!これからも面白い作品楽しみにしています! (2022年10月24日 16時) (レス) @page22 id: 096e7909ce (このIDを非表示/違反報告)
彼方 - 大好きです! (2021年12月24日 11時) (レス) id: be87187744 (このIDを非表示/違反報告)
彼方 - めっちゃ面白いからこれからも色々なお話待ってます! (2021年12月24日 11時) (レス) @page22 id: be87187744 (このIDを非表示/違反報告)
花奈(プロフ) - Raia。さん» ありがとうございます! (2019年1月28日 17時) (レス) id: c4cc4a66e9 (このIDを非表示/違反報告)
Raia。(プロフ) - おもしろい!頑張ってね!更新待ってるよ〜! (2019年1月28日 14時) (レス) id: 098a0cee36 (このIDを非表示/違反報告)
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