サッカーチームKZ Part2

No.54 安心 ページ11

｢若武！キャプテンっ！！｣


彩が目元を赤くしながら走ってくる。

不意に地面に落ちている先程若武が撒いた退団届の紙切れに目を落とした。


｢！！｣


｢嬉しそうだな、アーヤ｣


頭上で透き通る声がする。


彩は大きく頷いた。


｢あのっ、これってもしかして…｣


目をきらきらさせている。

彼女の言葉に、小田山は小さく微笑んだ。


｢そう。辞めないよ、KZ……行ったり来たり、ごめんな。また世話になる｣


｢も、もちろんです！！沢山お世話させてください！！｣



張り詰めた空気が漂っていたグラウンドは、安心感で包まれた。



｢おー？なんだ3人してグラウンドの真ん中で｣

｢やっべ、槇村っ。紙拾わねーと｣



慌ててその場にしゃがみ込み、破り捨てられた紙切れを拾い始めた。

彩はあまりにいつも通りの若武に思わずクスッと笑った。

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