先端恐怖症の衣更真緒の話 (ページ4)

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おはよう side，R ページ4

「おーきーろー！」

ま～くんったら、ホントよく飽きないよねぇ。

毎朝、どうせ起きない俺のことを起こしに来てさぁ。

ま～くんがため息をつく。

「凛月～、遅刻するぞ～？」

う～む……俺のせいでストレス抱えられても困るし、起きてあげよっかな。

俺は布団から顔を出した。

「ま～くんが着替えさせてくれるなら、起きてあげる」

はぁ？と言わんばかりに顔をしかめて、ま～くんは仕方なさそうにクローゼットから俺のYシャツを出した。

「わーかった。着替えさせてやるから、ベッドから降りろ」

そうやって、結局何でもやっちゃうとこ、ま～くんの良いとこであり、悪いとこだよねぇ。

俺はあくびをしながらベッドから降りた。

ふと、ま～くんの首筋に目を落とした。

……あ、ま～くん、首空いてる。

いつも俺の家に来るときはちゃんとボタン全部閉めてるのに……。

今日は暑いもんねぇ……。

ま～くんの手が、震えていた。

顔も真っ青だ。

「ま～くん？顔真っ青だよ。大丈夫？」

額に手を当てると、

「う、うわぁぁぁっ！！」

って叫びながら、俺から飛び退いた。

あ、もしかして……

俺の予想は的中した。

鏡の中の俺は、牙が出ていた。

………もう、絶対怖がらせないようにしようと思ってたのに……。

「ご、ごめん……ま～くん、ごめんね……」

流せない涙が、視覚を遮っていたけど、俺は確かに、ま～くんの恐怖に陥った表情に混じった悲しみを感じた。