流星の墓場 (5)

キャラ崩壊 ページ12

「隊長殿、なんで・・・！」


仙石が悲鳴のような声を上げる。


その声で、廊下の2人がこっちに気づいた。


「っ、離せ乙狩！」


「ここは俺が抑えている！早く逃げろ！」


動揺しながらも、私と仙石はドアの隙間から廊下へ飛び出した。


こんな時なのに、私は(乙狩さんのセリフ、めっちゃ漫画みたいだな・・)と思っていた。





アドニスが千秋の手首を捻りあげる。


「どうしても贄が欲しいのなら俺を差し出せばいい！」


「お前を差し出しても、朔間が拒否するだけだ」


千秋はアドニスの腕を引き剥がして、嘆息する。


「これは俺たち全員の願いのはずだ。何を意地を張っている？」


「意地を張ってなどいない！例え共にいた期間が短くても、彼女も同じ仲間だろう」


「仲間？違うな。天祥院があいつを転科するよう仕向けたに過ぎない」


アドニスは困惑して眉をひそめる。


「一体どうしたんだ、守沢先輩？いつものあなたではない。仲間などという言葉、普段なら吐くのはあなたの方なのに」


千秋が一瞬だけ動きを止める。


「・・・ああ、本当に」


目を逸らして俯く。


こんな時でも無駄に綺麗に磨かれた床に、自分の顔が映った。


「俺はどうしてしまったんだろうな」

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