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「うん！高峯くんの好きなように呼んでいいよ！」
高峯
「うーん、じゃあ蒼先輩で」
「私も下の名前で呼ぼうかな？」
そう言った瞬間、何故か高峯くんは少し下に俯いた。高峯くんに乗っかって私もそう言ってみたけど、もしかしてあんまり名前呼んで欲しくないとか…
「高峯くんが嫌だったらいいの！ごめんね…」
高峯
「すみません、まさか先輩から言ってくれるとは思わなくて…下の名前で呼んでほしいです」
「なんだ、良かった〜…」
高峯
「試しに一回言ってもらえませんか？」
「えっ、ええと…み、翠くん？」
高峯
「…っ(可愛いっ、名前で呼ばれるの嬉しい！)」
高峯くんは恥ずかしそうに笑う。その笑顔が純粋にかわいいと思った。その笑顔を見ると、つられて私も笑顔になる。
*
帰りの電車は高峯くんとは反対方向。改札の手前でお別れの挨拶をする。
「翠くん、今日はありがとう。すごく楽しくてあっという間だった！」
高峯
「こちらこそ、素敵な時間をありがとうございました。あとこれ…受け取ってください」
「えっ、これは…」
手渡された紙袋を覗くと、新品の可愛らしい手袋が入っていた。ベージュ色のかわいい手袋…
高峯
「先輩の手、冷たかったから…せめて帰りだけでも付けて帰ってください。夜はもっと冷えるので」
「えっ、一体いつの間に…」
高峯
「先輩がトイレ行ってる間に、近くの売店で見つけて買ったんです」
「本当にありがとう…すごく嬉しい。これからも使わせてもらうね！」
一体、高峯くんはどこまで気遣い屋さんなんだ…
気を遣わせてしまってることに申し訳なさが募るばかり。私は高峯くんに何もできてない。今度お礼になにかあげよう！
高峯
「今度はちゃんとしたやつをプレゼントしますね」
「いやいや、これ大事に使うから大丈夫！私こそ、今度お礼するね」
高峯
「これは俺がしたくてした事なので気にしないでください」
くっ、高峯くんなんていい子なんだ…
「…それじゃあ、また」
高峯
「はい、帰ったら連絡しますね」
スマホをチラッと覗かせて笑顔で手を振る高峯くんに手を振り返して、帰る方向のホームへと向かった。
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作者名：あねもね | 作成日時：2021年1月19日 19時
