巴日和の初恋 (ページ3)

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＿＿高校生になった日和

「七瀬ちゃん…」

「日和…話がある」

「ん…どうしたの？(ついにこの日がきたんだね！ぼくの今までの努力は無駄じゃなかったね！もう涙が出てきそうだね…ついに報われる時が…)」

「私、ニューヨークに留学するの」

「………え？」

一瞬時が止まったね。
予想外の言葉に驚き？悲しみ？色んな感情が押し寄せて
気づいたら自然に涙が零れ落ちていたね…

「お母さまは芸能界を引退して、お姉さまはモデルデビューして人気が出てきて…私ももっと頑張らなきゃいけないって思ったの」

空を見上げながら、強い眼差しで語る彼女にぼくは目が離せなかった。

「私は歌とダンスが好き。でも好きだけじゃだめなの。もっと上を目指さなきゃいけないの。だから私はもっと成長できる環境に身を置きたいと思って留学を決めたの…こんな急にごめんね？」

今まで見たことない切ない顔に耐えられなくて
ぼくの身体は自然に七瀬ちゃんをぎゅっと強く抱きしめていた。

幼い頃は七瀬ちゃんよりも小さくて力も負けていたぼくだけど、
今はもうぼくの胸にすっぽりおさまってるね。
何も言わないまま、優しく頭を撫でると鼻をすする音が聞こえた。
いつも強気な七瀬ちゃんが泣くなんて…らしくないね。

「ほんとはね…ちょっと怖いの…期待されてるプレッシャーは勿論あるし、慣れない土地にいくのも不安なの…」

震えた声で彼女は本音を漏らしてくれた。
ぼくに彼女自身が内に秘めてたことを話してくれたのが、嬉しかった。

「ぼくはいつまでもここで待ってるよ。七瀬ちゃんが帰ってくるまでずっと」

いつまでも、ずっと。
ぼくは七瀬ちゃんのことが大好きだからね。