story19 ページ19
千秋さんと一緒にご飯を食べながら昔話から現在のことまで色んな話をした。お互いに知らなかったことまで色々と。
少しだけ、ほんの少しだけ千秋さんとの距離が縮まった気がする。さっきまでアイドルとして沢山のファンを前にステージに立っていた千秋さんと2人きりでこうやっていることに優越感似たものを感じる。
千秋「おぉ!アルバムがある!これ、見てもいいか?」
「わわ、それは幼少期のっ…ちょっと恥ずかしいですけど、千秋さんは特別にいいですよ」
本棚に飾ってあったアルバムを手に取りペラペラとめくる。懐かしい写真の数々が目に入り、千秋さんの隣に座る。
「ふふ、懐かしい…」
千秋「未桜ちゃんは小さい頃から可愛かったんだな」
ナチュラルに呟く千秋さんの隣で私はひとり、顔を赤くする。千秋さんって、狙って言ってるとかそういういやらしさが一切なくて、本当に自然に口に出てる感じが余計にくるんだよね…。
次のページのある写真を目にした途端、千秋さんの動きがぴたりと止まる。
「あぁ、これは私が小さい頃によく遊んでた子なんです。ちょっぴり泣き虫なところがあるんですけどとってもいい子で……」
千秋「やっぱり…やっぱりそうだったんだな」
いきなりガシッと肩を掴まれ、千秋さんと目が合う。かと思えば、ぎゅっと強く抱きしめられて私の思考回路がもはや追いつかない。
千秋「この写真、隣にいるのは俺なんだ」
「え、えっ……」
千秋「俺がいじめられて泣いていたところをある女の子が声をかけてくれて助けてくれた…それが未桜ちゃんだった」
肩を震わせながら発する千秋さんの言葉にきょとんとしてしまう。そして、あの日感じた違和感。それは気のせいではなかった。
小さい頃のあの少しどんくさい…地味な男の子のイメージとはかけ離れ過ぎていて、この写真に写っている男の子が千秋さんだとにわかにも信じがたい。
千秋「ごめん、いきなりこんなこと言っても驚くよな…。でも、俺が初めて好きになった女の子でずっと…ずっと探してたんだ……よかった、やっと会えた……」
でも、この様子だと間違いないんだ。千秋さんはあの日私が助けた子…だったんだね。
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作者名:あねもね | 作成日時:2020年8月24日 14時