41.溺れる時間 ページ43
「まず問題は殺せんせーが本当に泳げないのか」
休み時間、私達は殺せんせーの暗殺計画を立てていた。
「湿気が多いとふやけるのは前に見たよね」
「さっきも⋯倉橋が水をかけたとこだけふやけてた
もし仮に全身が水でふやけたら⋯死ぬまではいかなくても極端に動きが悪くなる可能性はかなり高い」
「だからね皆、私の考える計画はこう
この夏の間どこかのタイミングで殺せんせーを水中に引き込む
それ自体は殺す行為じゃないから⋯ナイフや銃より先生の防御反応も遅れるはず
そしてふやけて動きは悪くなった所を⋯水中で待ち構えてた生徒がグサリ！」
『でも⋯その水中戦を一体誰が⋯』
「水中にいるのが私だったらいつでも任せて」
メグちゃんは自分の髪留めを外しながら、微笑んで言った。
「
『⋯なるほど』
確かにメグちゃんのあの泳ぎなら⋯。
「おお〜
昨年度の水泳部クロール学年代表片岡メグ選手の出番ってわけだ」
「まず大事なのは殺せんせーに水場の近くで警戒心を起こさせない事
夏は長いわ
じっくりチャンスを狙っていこう！」
「「おう！」」
「うーむ、さすが「イケメグ」」
「こういう時の頼れる度合いのハンパじゃないな」
でしょでしょ、メグちゃんは女子なのにすごくイケメンなのだ！
文武両道で面倒見が良く、颯爽として凛々しい姿からついたあだ名が「イケメグ」。
「さっき飛びこんで助けてくれた時とかさぁイケメンすぎて惚れそうになっちゃったよ」
『分かるよーカエデちゃん
もうほんとにカッコイイんだよなぁ、メグちゃんは』
でもどうしてメグちゃんみたいな人がE組に落ちたんだろう。
放課後、私は律と一緒にメグちゃんの泳ぎの練習に付き合っていた。
「律タイムは？」
「26秒08
片岡さんの50m自己記録には0.7秒届いていません」
「ブランクあるなぁ
任せてと言った以上は万全に仕上げておかないとね」
「⋯うーむカッコイイ」
「責任感の塊だね」
『2人とも見に来たんだ』
「うん！Aちゃんは練習の付き合い？」
『うん、そう』
「確かにカッコイイです」
「こ、殺せんせー！？」
「何を任されたかは知りませんけどねぇ」
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作者名：ルルナ | 作成日時：2024年1月30日 3時
