E組にやってきたフルート奏者【赤羽業】 (ページ35)

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「ねぇねぇAちゃん？

この間ここで吹いてた曲吹いてよ」

『え？』

現在、体育の授業を赤羽君とサボり中。

赤羽君に私の秘密を知られてしまいそうになり、何とか事情を説明し終わり、ゆっくり日光浴でもしようかなと思っていた時だった。

この間ここで吹いていた曲を吹いてほしいと赤羽君に言われてしまった。

『この間吹いていた曲って⋯』

「吹きながら泣いてたヤツね」

『わぁー！！

言わないでください！！

⋯星のセレナードっていう曲ですね』

「へぇー、そんな名前なんだ

多分それー」

私は携帯を取りだし、ピアノの伴奏が録音された動画を探しだした。

「やっぱりスマホ持ってるんだ」

『あ⋯』

しまった⋯。

私、皆と連絡先交換するのを防ぐためにスマホ持ってないとか嘘ついてたんだった⋯。

『あの、こっこれは⋯』

「それもさっきのことと関係してるの？」

『⋯はい

⋯内緒でお願いします』

「別にいいけどさー

⋯今俺と連絡先交換することってできないの？」

『すみません、無理です

もう少し待っててください⋯』

「了解ー

じゃあ曲吹いてよ

早く聞きたい」

『はい⋯』

準備が出来た私は曲を吹き始めた。

あの時よりも何故か悲しくはなかった。

きっと赤羽君が気持ち良さそうに聞いててくれたからだろう。

何年振りだろう、こんなに人に聞いてもらって楽しく感じたのは⋯。

とても幸せな気持ちだった。

曲が吹き終わると、赤羽君は拍手をしてくれた。

「やっぱり俺この曲好きだな

吹いてくれてありがとうAちゃん」

『いえ⋯

こちらこそ聞いてくれてありがとうございます

とても幸せでした』

「そっか⋯

それは良かった

てかそろそろ戻ろうか

授業も終わってるだろうし、鷹岡の事も気になるし」

『そうですね⋯』

私はどこか名残惜しい気持ちだった。

もう少し彼に私の音楽を⋯奏でる音色を聞いて欲しかった。

なんて⋯もちろんそんなことは言えず、私達は校舎に戻ることにした。

後から茅野さんから聞いたんだけど、ものすごい大変だったらしい。

鷹岡は暴力で人を従わせるタイプだったらしく、自分を追い出したければナイフを使い俺に勝てと言ってきたそう。

烏間先生に選ばれたのは意外にも潮田君だったらしく見事に勝つことが出来たみたい。

その後鷹岡は理事長に解雇されたとか。

潮田君の意外な一面を見れ、鷹岡も居なくなり一応？一件落着だったみたい。