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彼女は悲しそうな顔で笑っていた。


「……その、お腹の子どもって、俺の……?」


恐る恐る尋ねると、こくん、と頷いた。


「でもね、私、怖くなっちゃって。母親になる覚悟も何も無くて、忙しそうなけんくんに話すことも出来なくて……だから、堕ろしてけんくんと別れようと思ってさ。」


彼女の視線は、指先で遊ぶ指輪に向いている。

俺はAの頬を両手で挟んで、首を痛めない程度に無理やりこちらを向かせた。

バチッと目が合って、沈黙が流れる。


あぁ、思えばずっと目を合わせていなかった。

いつから彼女は、俺を見てこんなにも困ったような顔をするようになったんだろう。


彼女の目は、俺を捉えているのに、酷く揺れて震えていた。


「A。ごめん。謝るのは俺の方だよ。ずっと1人で悩んできたんだよね?いっぱいいっぱい考えたんだよね?……気づけなくてごめん。」


はらはらと流れ出す涙を拭って彼女を抱きしめる。


「A1人で不安なら、俺に言って。俺もこれからは気づけるようにAのことも、お腹の子のことも、たくさん見てるから。……だから、帰ってきて。」

「けんくん、私、ずっと……ごめ……うぅ……うぁぁあっ!!」


彼女は俺の腕の中、声を上げて泣いた。

彼女が泣く姿を見るのは、数年ぶりの事だった。

それほどまでに、俺は彼女を追い詰めていたのだと、思い知らされた。


正直、俺も覚悟なんて出来てない。

だからこそ、2人で支え合っていくんだ。

これからよろしく、A。

それに、Aの中の、小さな子。

理解と納得ーkwmrー→←____



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設定タグ:QuizKnock , QK , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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辰海恋歌(プロフ) - あすさん» 早速読んでいただきありがとうございます。この後どうなるかも一応考えてはいますが、次回の短編集のテーマとは少し合わないと思うのですぐに公開、という訳ではありませんが、必ずあす様の目に留まる形に致しますのでしばらくお待ちください。よろしくお願いします。 (2021年11月5日 0時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
あす(プロフ) - 辰海恋歌さん» 早速続き拝見しました!fkrさんが詰め寄る感じいいですね!続編?半年後fkrさんとどうなっているのか気になります! (2021年11月4日 22時) (レス) id: 14b7e1c0b8 (このIDを非表示/違反報告)
辰海恋歌(プロフ) - あすさん» こんばんは!そういって頂けてとても嬉しいです!最後まで気に入って頂けますと幸いです。 (2021年11月4日 20時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
あす(プロフ) - こんばんは!結ばれる悲劇、終わらない悲劇を読んで切なくもありますがとても気に入りました!続きが気になります… (2021年11月3日 22時) (レス) id: 14b7e1c0b8 (このIDを非表示/違反報告)
辰海恋歌(プロフ) - あすさん» いえいえ!気に入っていただけて良かったです!! (2021年7月17日 23時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:辰海恋歌 | 作成日時:2021年5月19日 16時

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