10 はじまり ページ10
母には、サカマネやってみるという事だけを端的に告げた。母は一瞬驚いたような表情したが、すぐにその唇に笑みを浮かべ、頑張ってねと穏やかに呟いた。
昔から私がやりたいと言ったことを否定しない母は、本当に優しいのだと思う。だからこそ、何かに熱中できない自分を申し訳ないと感じ、頑張るね、と口にして、入部届けを書くためにペンを持った。
特になにも無い日曜日を過ごし、月曜日。放課後に続々と、部長の元へ青色の入部届けを持った一年生が集まる。各々は辺りを見渡したり、近くの人と会話したりして緊張や期待を滲ませていた。
かくいう私も緊張する面持ちを隠すことなく、仲間の二人の後について並ぶ。マネージャーは最後にしようと三人で最後尾に付いた。少しずつ列が短くなり、いよいよ最後の私の番。
「お願いします」
「どうも」
これで全部、とコネシマさんは机上でトンと角を揃え、そして一番上にあるであろう私の入部届けにジッと目を落とした。
「……何か？」
「いや、何もないわ」
どこかミスでもしていたかと不安になったが、すぐに彼は職員室の方向へと歩いて行った。
＊＊＊
いよいよ本格的に部活が始まる。が、先輩方が豹変することもなく、優しく、そして的確に一から十までマネージャーとしての仕事を教えてくれた。
必死に先輩の後ろについていると、あっという間に時は過ぎ去って、すぐに本入部一日目は終わった。
「Aちゃん、これ、部室に持って行ってもらってもいい？」
全体での挨拶を終え、部員一同の気が少しだけ抜けた頃、マネージャーの仕事はまだ終わらない。了解です、と先輩からビブスの入ったカゴを受け取り、かろうじて場所の記憶がある部室へと向かう。ドアノブに手をかけようとすると、その手は宙を切った。
「お、ありがとうな。確か……Aさん」
ガチャリと扉を内から開いたのは部長さんだった。名前を呼ばれた事に一瞬目を見開くと、彼はハッとしたように目を泳がせた。
「あー……登録用紙見てん」
確かに紙に視線を落としていたもんなと妙に納得する。さらに、人の名前覚えるの早いなぁなんてどうでもいい事を考えて、その言葉になるほどと相槌を打った。
「……後輩にさん付けしないでいいですよ。これからよろしくお願いします、コネシマ先輩」
どうせ短くて夏、長くても秋には顔を合わせることも無くなるのだ。後からちょっと生意気かもと思ったが……形式的にはこれでいいだろう。
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ぴざる2号(プロフ) - 泣いた…好き… (2021年4月2日 8時) (
レス) id: fa56edbecd (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 『夢小説』やなくて『小説』読んでるみたいな感じになるし、ストーリーは面白いし、作者さんええ人やし…この小説の大ファンになりました（単純） (2019年10月30日 15時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
aaaa(プロフ) - もうなんか今のこのもどかしさが喉の奥に詰まって泣きそうなくらいにこの作品好きです。応援してます。 (2019年8月7日 0時) (レス) id: 6511620324 (このIDを非表示/違反報告)
Souha - ｷｬｰknサンｲｹﾒｰﾝ((( 内容と作者様の書き方が好きです。！もう…なんかやばすぎました。 あと、更新頑張って下さい！もうこれは全裸待機ですね！！ (2019年7月18日 21時) (レス) id: 60f9fe5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
usikosan(プロフ) - しゅきやわ (2019年6月8日 14時) (レス) id: a7c2ae121f (このIDを非表示/違反報告)
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