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「……凄いな」
試合が終わり、ぽつりとこぼれた感想はそんなものだった。練習試合とは思えない程白熱していた試合に、自らの体温も上がっていた。今度はネットの外ではなく、内側で応援したい、欲を言えばもっと近くで見たい──そんな思いが募った。
片付けを手伝おうとマネージャーさんの所に行くと、じゃあこれ持ってくれる？と一冊のノートのようなものを手渡される。その表紙には”スコアノート”と記されていた。
「中、見てもいいですか？」
いいよ、と微笑まれ遠慮なくページを開くと、中には選手の名前と背番号、シュート数やアシスト数などが細かく綴られていた。
「これ、全部マネージャーさんが書くんですか？」
「そう。慣れるまでは大変だけど、勝つ為には必要だから」
「これ見るとシュートの成功率とか分かるから助かるなぁ。やっぱシッマ率高いわ」
ぐいと後ろからノートに身を乗り出し、感心したように口を開いたのは、最後にシュートを決めた先輩だった。目が合うと、突然ごめんなと謝られ、思わずいいえと首を振る。
「お疲れ様です。……あの、シッマって」
「……ん？君知らんの！？俺らのキャプテンやで」
「シッマことコネシマが部長で、そこの軽薄そうな男が副部長だよ」
……あの人、コネシマというのか。そして軽薄とは失礼なと笑っているこの赤みがかった髪の人が副部長。
聞いてから、既に入部する気でいる自分がいる事に気が付いた。
「Aちゃん？行くよ」
声をかけられ我に帰る。すみませんと謝って、部室に歩みを進める先輩の後ろを付いていく。心の中は、今日の空のようにスッキリと晴れていた。
＊＊＊
帰り道、母になんて説明しようかなとぼんやり考えていると、後ろから自転車の音。いつのまにか道の真ん中に出過ぎていた事に気付き、端に避けようと振り向くと、そこにいたのは部長さん……改めコネシマさんだった。
彼は私の横を通ると、少しだけ速度を落とし、ちらりとこちらを向いた。
気がかりなのはその左腕。終始庇っているように見えたので、交錯した時に怪我でもしたのかと思っていた。
「お疲れ様です。あの、腕──」
「お疲れ。じゃ」
大丈夫ですか、と言おうとしたが丁度彼の声が重なった。聞こえていたか──はたまた聞こえないフリか。そんな事は分からなかった。聞き直す間も無く、彼の背中はすぐに見えなくなってしまった。
「……とりあえず、帰ったら入部届け書こ」
いつもよりも少しだけ早歩きで、帰路についた。
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ぴざる2号(プロフ) - 泣いた…好き… (2021年4月2日 8時) (
レス) id: fa56edbecd (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 『夢小説』やなくて『小説』読んでるみたいな感じになるし、ストーリーは面白いし、作者さんええ人やし…この小説の大ファンになりました（単純） (2019年10月30日 15時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
aaaa(プロフ) - もうなんか今のこのもどかしさが喉の奥に詰まって泣きそうなくらいにこの作品好きです。応援してます。 (2019年8月7日 0時) (レス) id: 6511620324 (このIDを非表示/違反報告)
Souha - ｷｬｰknサンｲｹﾒｰﾝ((( 内容と作者様の書き方が好きです。！もう…なんかやばすぎました。 あと、更新頑張って下さい！もうこれは全裸待機ですね！！ (2019年7月18日 21時) (レス) id: 60f9fe5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
usikosan(プロフ) - しゅきやわ (2019年6月8日 14時) (レス) id: a7c2ae121f (このIDを非表示/違反報告)
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