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「なんでAがモヤモヤするのか、その理由を考えてみなよ」
先程頼まれたことと、それに対して自分の胸を占めた感情を話せば、彼女はどこか楽しそうにそう言った。部活が始まるまでの間、赤色のジャージに着替えつつその理由を模索してみる。が、その答えに至るにはまだ時期早々な気がすると勝手に結論付け、考えることをやめた。答えを出すことが怖かった、と言うべきか。いつものように髪をひとつに括るも、なんとなく決まらずに何度も結び直す。鏡に映っている自分は、浮かないような顔をしている気もした。
「コネシマ先輩」
部活開始まであと十分ほど。地面に座り軽くストレッチをしていた先輩に声をかける。いつもとは違う下からの目線を新鮮に感じながらも、休み時間のことを思い出し一度頭の中で反芻する。
「……二年の女子の先輩が、部活後待ってます、だそうです」
頼まれた通りに、声を出す。感情を込めないように、ただ、淡々と。面倒そうに先輩が顔を顰めたことに、なんとも言えない感情が渦巻く。
「誰やねんそれ……」
「……さあ。彼女は先輩のこと、知ってるみたいでしたよ」
「めんどうやな」
その言葉を体現するように、彼は首を左右に傾け音を鳴らす。訪れた会話の隙間を、陸上部の部活開始の挨拶が埋めた。それに続いて深く息を吐き出した彼も立ち上がる。はらはらと砂粒が舞った。
「とりあえず、分かったわ」
そう言い残し、グラウンドに向かっていく。そろそろやるで、という先輩の声に、辺りにいた部員たちも続々と集まり始め、時間通りに部活は始まり、私もいつも通りドリンクの準備を始めた。
今日の空は薄曇りだった。燃えるような茜色ではなく、淡いフィルターがかかったような霞んだ空に細い飛行機雲が伸びていた。その飛行機雲が背景に馴染んでいくと、教室施錠に回るというアナウンスが入り、続々と文化部の面々が玄関から帰っていく。文化部は運動部よりも時間が制限されている。そうクラスの吹奏楽部の女の子が嘆いていたのをふと思い出した。
かくいうサッカー部も一通りの練習を終え、既に自主練の時間だ。各々が自分の課題に取り組み、時に声をかけながらサッカーボールを追う。コネシマ先輩も例外ではなく、今日は後輩数人と体を動かしていた。自主練にまで後輩の面倒を見るのは珍しく、少なからず入部してからは初めてその姿を目にした。その光景はやはり様になっていて、洗濯した蛍光色のビブスを干しながら、つい目で追ってしまうのだった。
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ぴざる2号(プロフ) - 泣いた…好き… (2021年4月2日 8時) (
レス) id: fa56edbecd (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 『夢小説』やなくて『小説』読んでるみたいな感じになるし、ストーリーは面白いし、作者さんええ人やし…この小説の大ファンになりました（単純） (2019年10月30日 15時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
aaaa(プロフ) - もうなんか今のこのもどかしさが喉の奥に詰まって泣きそうなくらいにこの作品好きです。応援してます。 (2019年8月7日 0時) (レス) id: 6511620324 (このIDを非表示/違反報告)
Souha - ｷｬｰknサンｲｹﾒｰﾝ((( 内容と作者様の書き方が好きです。！もう…なんかやばすぎました。 あと、更新頑張って下さい！もうこれは全裸待機ですね！！ (2019年7月18日 21時) (レス) id: 60f9fe5ef6 (このIDを非表示/違反報告)
usikosan(プロフ) - しゅきやわ (2019年6月8日 14時) (レス) id: a7c2ae121f (このIDを非表示/違反報告)
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