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「ミルザから聞いてます。ほんまええって言ったんですけどねぇ……」
どうやら私がここに来るのは彼にとっては不本意なようで、頻りに頭をぽりぽりとかきながら苦笑いを浮かべている。
「まぁ、特にすることは無いと思うんで。コーヒー頼むくらいだと。今日一日は、僕がどんな事しとるか見とって貰えれば」
了解致しました、と返事をすれば早速トントン様は先程の机に戻った。そして再び山のように重なる書類に目を通しては、判子を押したり付箋に何か書いたりしているようだった。ただぼうっと突っ立っている訳にはいかないので、汚くもないが掃除することにした。ミルザさんから頂いたトントン様メモをちらりとみる。
[・コーヒーは10時と15時。砂糖は入れずミルクのみ。15時の際は甘いものと共に]
10時まではまだ時間がある。腕まくりをして静かに気合を入れた。
窓の縁を拭いている時、ちらりとトントン様の方を盗み見る。質の良さそうな羽ペンで真剣に何か書き物をしている。時々首を後ろに倒したり、横に倒したり不自然に動かす。その時、微妙に顔が強張るのに気づいた。しかし仕事の邪魔をする訳にはいかないのでそのまま掃除を続ける。すると何の前触れもなく、ガチャリと扉が開いた。
「トン氏〜、これやっと終わったわ」
入って来たのは目の下に大きなクマが目立つ大先生だった。その手には二、三枚の書類。
「どんだけかかっとんねん、まあええわ」
トン氏が何回もやり直しさせるからやろ、と文句をこぼしつつ彼はソファに座った。そして煙草に火をつけようとした時、深い青と目が合ってしまった。
「あれ、Aちゃんやん」
やっほーと緩く手を振りながら笑う大先生。反応に困るので正直困ったが、大人しく会釈しておいた。
「なんや、知り合いなんか」
「ちょっとした相談相手やねん」
「どうせお前が口説いとんのやろ」
バレたか、とヘラヘラ笑う大先生。相談事をしているのは完全に私なのだが、立場を考えて隠してくれたのだろう。彼のさりげない気遣いに、頭が上がらない。
「トン氏のヴァレットなんやろ？ずるいわ、何で僕じゃないの」
「知らんわ。俺は頼んでへんねんぞ」
「折角やしトン氏の夜の相手もしてもらったら」
はぁ？とあからさまに眉を顰めるトントン。それに対して大先生は口角を上げる。
「ヴァレットはそんな仕事無いで」
「ちゃうちゃう。夜はハレムの女としておったらええねん」
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あん(プロフ) - RUIさん» RUIさんはじめまして、素敵なコメントをありがとうございます。そのように仰って頂けて大変光栄です…！再び読んでくださったなんて本当に嬉しいお言葉です。ありがとうございます。引き続きパート3も楽しんでいただけたらと思います…！ (2019年8月21日 20時) (
レス) id: 2a14f29560 (このIDを非表示/違反報告)
RUI(プロフ) - 修正前から拝見しておりました。この作品は私が出会った中で1番印象的で大好きな作品です。少しの間占ツクを離れていて最後に読んだのは半年ほど前でしたがほとんどの内容を知っかりと覚えていました。続きが公開されるのを今か今かと待っています笑大好きです！ (2019年8月19日 0時) (レス) id: 58d14c974b (このIDを非表示/違反報告)
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