98 広いホールと ページ48
王宮内で一番広いホールに続々と人が集まる。天井が高く特殊な装飾が施されたそこには音楽が流れ、今か今かとパーティーの開始を待つ高貴な衣装を身につけた人々を包んでいる。それは他国の貴人に限られたことではなく、勿論この国イスファムの王やミフターフも同じであった。
今回は立食形式。島々に設置された机の上には豪勢な食事が並ぶ。壁際には世界各国の銘酒が用意され、既に吟味している外交官もいた。
そんな自由度が高めなパーティーだが、コネシマはどこか緊張した面持ちでホールに設置されたステージから一番遠い所にただ一人立っていた。何回か身につけた事のある正装も、今のコネシマには落ち着かない様子だった。
その理由は明確だ。頭に浮かぶのはあの時の映像ばかり。自分の不用意な発言で、彼女を酷く傷付けてしまった。仕事に没頭している間はその事を考えずに済んだ。だが今この瞬間のように何も無い場合は話が変わる。
直接話す機会も無いまま、今日この日まで来てしまった。大きな挑戦を決意した彼女を心の底から応援するつもりだった。きっととてつもない不安が彼女の心に渦巻いている、そんな時に側にいられない自分に腹が立つ。
無事に全ての出席者がホールに揃ったところで、このパーティーの主催者であるイスファムの王が挨拶をする。そして開始の合図をすれば一斉に人々は各々の出席者と共に食事をし始めた。久しぶりに会ったと感涙する外交官、かつての師匠に出会えた秘書官などそれぞれのテーブルでドラマが繰り広げられている。
空になった皿を取り替えるメイド達は緊張しつつも忙しなく動いていた。
一人アルコールの入っていない飲み物の入ったグラスを片手にするコネシマに派手な出で立ちの男が声をかけた。
「なんやねんシッマ、こんな隅に一人でおって」
その男を見たコネシマは少しだけ顔をしかめ溜息をついた。
「お前こそなんやねん、シャオロン」
「最近様子がおかしい言ってたで、ショッピ君が。ま、せいぜい他国のお偉いさんの前ではちゃんとしとけよ」
そう言ってふらふらと人混みに消えていった。コネシマは既に見えなくなったほろ酔いの彼の後ろ姿をじっと見つめた。
ふとホール内の照明が落ち、ステージの上の緊張した面持ちのロボロをライトが照らした。一斉にそちらに注目が集まる。
「……さて、お食事の途中ではございますが、ここで我が国恒例の舞を披露させて頂きます」
盛大な拍手に包まれて彼女はステージに現れた。
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あん(プロフ) - RUIさん» RUIさんはじめまして、素敵なコメントをありがとうございます。そのように仰って頂けて大変光栄です…！再び読んでくださったなんて本当に嬉しいお言葉です。ありがとうございます。引き続きパート3も楽しんでいただけたらと思います…！ (2019年8月21日 20時) (
レス) id: 2a14f29560 (このIDを非表示/違反報告)
RUI(プロフ) - 修正前から拝見しておりました。この作品は私が出会った中で1番印象的で大好きな作品です。少しの間占ツクを離れていて最後に読んだのは半年ほど前でしたがほとんどの内容を知っかりと覚えていました。続きが公開されるのを今か今かと待っています笑大好きです！ (2019年8月19日 0時) (レス) id: 58d14c974b (このIDを非表示/違反報告)
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