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一度思い出すと、連鎖的にその時の記憶が鮮明に蘇る。
彼がやって来た時、既に私は孤児院の中で年長組であった。この時から小さい子達の面倒を見て、世話をしていたと思う。
「A姉ちゃん、今日は新しいお兄ちゃんが来るんだって」
「そうなんだよ、仲良くなれるかなあ」
現れたのは金髪の怖そうな男の人だった。目付きは鋭かったし、オーラもなんとなく怖くてあまり良い印象は無かった。それでも見たこともないような姿と少しの好奇心に、一番先に話しかけに行った。
「お名前は？」
「……グルッペンだ」
「グルッペン、さん。よろしくお願いします」
私よりも年上なのは分かったので、辿々しい敬語を使っていた気がする。グルッペンさんは口数が少ないながらも、私のする仕事を手伝ってくれた。
「これを、全部お前がやっているのか？」
「はい。私がこの中では年上、だから」
年上といっても働くような年齢では無かった。それでも今迄お世話をしてくれていた女性は老い、動くこともままなら無くなっていたからある意味仕方がなかった。
「……そうか。大変だな」
そんなことを言いながらグルッペンさんは文句一つ言わず仕事をしてくれた。むしろ私よりも働いて、私のする事が無くなっていたと思う。
ある日、二人で買い出しに出かけた。日が落ちかけていた帰り道、私は道端に咲いていたピンク色の花を見つけた。
「これ、なんて言う植物なの？」
「……エケベリア。多肉植物さ」
しゃがみこんだ私を見ながらグルッペンさんは微笑んだ。そして夕陽を背に口を開いた。
「花言葉は、優美、穏やか、逞しい」
「そうなんですか。綺麗……」
グルッペンさんの言葉が頭に入ってこないくらい、あの時の私はピンクのエケベリアに魅了されていたと思う。暫くすると花を見つめている私にグルッペンさんは口を開いた。
「Aは今、幸せか」
「幸せ？全然。だってすぐお腹が空くもん。……でも、これを見てると幸せかもしれない」
そうか、と呟いた彼は私の隣にしゃがみこみ頭を撫でた。
「……国を、変えてみせる。だからお前は、優美に、逞しくあれ」
幼い私は、その難しい言葉に疑問符を浮かべたと思う。
優美に、逞しくあれ。
ただその言葉だけが、ずっと胸の内に残っていた。
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あん(プロフ) - RUIさん» RUIさんはじめまして、素敵なコメントをありがとうございます。そのように仰って頂けて大変光栄です…！再び読んでくださったなんて本当に嬉しいお言葉です。ありがとうございます。引き続きパート3も楽しんでいただけたらと思います…！ (2019年8月21日 20時) (
レス) id: 2a14f29560 (このIDを非表示/違反報告)
RUI(プロフ) - 修正前から拝見しておりました。この作品は私が出会った中で1番印象的で大好きな作品です。少しの間占ツクを離れていて最後に読んだのは半年ほど前でしたがほとんどの内容を知っかりと覚えていました。続きが公開されるのを今か今かと待っています笑大好きです！ (2019年8月19日 0時) (レス) id: 58d14c974b (このIDを非表示/違反報告)
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