89 練習は計画的に ページ39
バタバタしているとあっという間に時は流れレッスンの時間になった。動きやすい服に着替え軽く身体をほぐし、スペースのある空き部屋でロボロを待つ。まだ来る気配が無かったので、一度かつての宴の際に披露したものを音に合わせて動いてみる。やはりブランクがあるもので、思うように身体が動かず唇を噛む。もう一度、と立ち上がって腕を動かす。
「あかんあかん、全然だめ」
ロボロがいつの間にかそこに立っていた。
「指の先まで意識して、そう。あぁ、掌は中指だけズラすと綺麗に見えるで」
少しずつアドバイスを貰い形を修正する。振りは以前踊っていたもののアレンジバージョンだ。新しい振りを教えて貰い、反復して自らに染み込ませていく。何も履いていない足に、地面の冷たさが直に伝わる。それが顔に出てしまっていたのだろうか、ロボロが口を開く。
「A、本番もその顔で踊るんか」
ハッとして彼の方を見ると唇を固く結び苦々しい顔が目に入る。
「……すみません」
「ええから。次」
次から次へと教えられる新しい振りに頭が一杯になる。何とか食らいついていくも、ロボロが言ったことを百パーセント反映できない自分に腹が立つ。
一段落してふと窓の外に目をやるとすっかり暗くなっていた。
「今日はこんなとこやなぁ。このままじゃ間に合わんし明日からもっといくで」
「……了解しました」
そう言うとロボロは部屋を出て行った。緊張の糸が切れたのか、思わず壁に背中を預け座り込んでしまう。身体中が痛い。舞はしなやかな動きが要求されるものなのだが、そのためには筋肉が必要だ。
「身体、鍛えなきゃ」
深呼吸をして頭を項垂れる。するとガチャリと扉が開く音がした。
「……随分と厳しいレッスンだな」
顔を上げると口角を上げながらこちらを見るグルッペン様がいた。
「っすみません！お見苦しいところを」
直ぐに立ち上がるも、目の前がチカチカとして意識が遠のく。あろうことか、グルッペン様に支えられてしまった。
「……本当に、申し訳ありません」
「お前は昔から、そういう所は変わらんな」
昔から、という言葉が引っかかる。やはり私はこの方と会っていたのだろう、いつかの勘は正しかったのだ。
「エケベリアの花言葉は知っているか？」
エケベリアはピンク色の多肉植物。確か、王宮でこの方と初めてお会いした時も窓の外に咲いていた気がする。分からないという顔をするとグルッペン様はニコリと微笑んだ。
「……優美に、逞しくあれ」
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あん(プロフ) - RUIさん» RUIさんはじめまして、素敵なコメントをありがとうございます。そのように仰って頂けて大変光栄です…！再び読んでくださったなんて本当に嬉しいお言葉です。ありがとうございます。引き続きパート3も楽しんでいただけたらと思います…！ (2019年8月21日 20時) (
レス) id: 2a14f29560 (このIDを非表示/違反報告)
RUI(プロフ) - 修正前から拝見しておりました。この作品は私が出会った中で1番印象的で大好きな作品です。少しの間占ツクを離れていて最後に読んだのは半年ほど前でしたがほとんどの内容を知っかりと覚えていました。続きが公開されるのを今か今かと待っています笑大好きです！ (2019年8月19日 0時) (レス) id: 58d14c974b (このIDを非表示/違反報告)
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