81 狡い ページ31
「おつかれ〜」
「お疲れ様でした」
無事に話し合いを終え帰路に着く。特に問題も無く、現状の報告や今後の展開を相談した所で一段落を終えた。シャオロンさんは一度仕事の話になればスッと切り替えが上手に出来る人であった。……普段とは違う鋭い視線ドキッとしてしまうくらいには。
「Aちゃん、今日夜部屋来てくれへん？二人でお疲れ様会しようや」
酒飲める？と言う言葉に少し迷ってある程度は、と答える。シャオロンさんはそこまで強く無いらしいのだが、明日が休みなのでたまには良いだろうという事を言っていた。なんだかんだシャオロンさんのイメージが変わった、そんな一日であった。トントンさんには後で断りをいれておこう。
___
昼頃に訓練の仕事が一段落したので黒い扉のいつもの部屋に戻った。いたのはショッピ君だけで、大先生とゾム、オスマンは席を外していた。日中に五人揃うのは滅多に無いので、この前のトントンが来た日は奇跡と言って良い。……トントンが入って来た時に暴れていたのは、たまたまだ。
「俺、Aさんと友達になりたいんですけど」
お茶を入れながらショッピ君は口を開いた。そう言えばそんな話をAとしたなと思い出す。ショッピは簡易キッチンで慣れた手つきでお茶の葉を茶漉しに入れる。あれは急須と言ってオスマンが遠い東の国から仕入れたものだとか言っていた気がする。
何だかんだコップを二つ用意してくれているのに気付き、できた後輩だと思う。
「歳も近いしええと……なんや」
机の上に置かれていたいつもの煙草の箱を手に取った時、パッケージの上からひらひらと何かが落ちた。ふらりと床に落ちた薄い紫色の小さなカードを手に取る。何も書かれていないと思ったがひっくり返して裏面を見ると真っ先に署名が目に入った。
そこに達筆な文字で書かれていた言葉は短かったが、自分の心が踊るのが分かった。口角が上がるのを見られたく無くて、思わずカードを持っていない方の手で顔を覆う。
一回、二回と上から下に目を動かす。さぁ三回目を読み直そうと少し手に力を入れた時、机の上にカタンとコップの置かれる音がして顔を上げる。お茶を入れてくれた後輩の、ニヤニヤとした憎たらしい顔と目があった。
「いやぁ幸せ者っすね。こんなクソ先輩のどこがいいんだか」
「……うっさいわ」
何かを言い返す気にもなれなくて、バタンと机に突っ伏す。見慣れた煙草を口にしながら、ふと昨日の夜のことを思い出した。
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あん(プロフ) - RUIさん» RUIさんはじめまして、素敵なコメントをありがとうございます。そのように仰って頂けて大変光栄です…！再び読んでくださったなんて本当に嬉しいお言葉です。ありがとうございます。引き続きパート3も楽しんでいただけたらと思います…！ (2019年8月21日 20時) (
レス) id: 2a14f29560 (このIDを非表示/違反報告)
RUI(プロフ) - 修正前から拝見しておりました。この作品は私が出会った中で1番印象的で大好きな作品です。少しの間占ツクを離れていて最後に読んだのは半年ほど前でしたがほとんどの内容を知っかりと覚えていました。続きが公開されるのを今か今かと待っています笑大好きです！ (2019年8月19日 0時) (レス) id: 58d14c974b (このIDを非表示/違反報告)
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