77 水面下の牽制 ページ27
思わずえ、と低い声が出る。でも確かにトントンさんは大先生と言った。キラキラと反射するガラスの入れ物を見つめる。
「アイツ、何だかんだこういうことしよるでかわええよなぁ」
疑問符を浮かべていると、大先生はその色、とガラスの入れ物を指差した。その水色に思い浮かべたのは、同じ水色の瞳を持つ人物。
「でも、いつ」
「昨日の夜、街出てくの見たで」
数少ない休日を一緒に過ごし、夜は一人でゆっくりしてほしいと早めに部屋を出た。なのに彼はこれを買いに行ってくれたのだろうか。ちらりと、乱雑に書類が置かれたデスクを見る。一つだけ置かれた煙草の箱に思わず彼の匂いが想起される。
「愛されとんなぁ」
一瞬大先生の瞳に陰がかかった気がしたが恐らく気のせいだろう。直ぐにいつもの穏和な笑みになった。少し静寂が訪れた所で、ガチャリと後ろの扉が開いた。顔を出したのはショッピさん。
「大先生ちょっと相談……ってAさん」
「お邪魔してます」
「あ、ミルザさんが探してましたよ。確か午後の為のなんたら〜って」
お互いに探していたのに会わなかったのは逆に珍しい。どうやら執務室に向かったらしいので再び戻ることにした。
「ありがとうございます。大先生、コネシマさんによろしくお伝え下さい」
「あ、待って。俺が言うよりメモでも置いてった方がええんちゃう」
ショッピ君なんか持ってるやろ、と大先生が声を掛ける。ペンと共にくれたのは薄紫色の小さめのカードだった。一言二言書いて、先ほど見たタバコの箱の上に置いた。再び二人にお礼を言って最初の場所、執務室に戻った。
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「Aさんもかわええ事しますね」
煙草の箱の上に置かれたカードに書かれた達筆な文字を見たショッピは呟いた。
「かわええなあ」
「コネシマさん、どんな顔するんすかね」
「カメラでも回しとこか」
くくくと笑って自らの煙草の箱を取り出す。その様子を見たショッピは、訝しげに大先生に声をかけた。
「……楽しそうな笑いの割には、目が怖いっすよ」
はぁ、と深くため息をついて箱を机に置く。
「なんや恋バナか？俺も混ぜてや」
部屋に入ってきたのはゾム。ショッピは彼だけは何を考えているのか未だ読めなかった。
「Aさんはゾムさんが見つけたんですよね。何も思わないんですか？」
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あん(プロフ) - RUIさん» RUIさんはじめまして、素敵なコメントをありがとうございます。そのように仰って頂けて大変光栄です…！再び読んでくださったなんて本当に嬉しいお言葉です。ありがとうございます。引き続きパート3も楽しんでいただけたらと思います…！ (2019年8月21日 20時) (
レス) id: 2a14f29560 (このIDを非表示/違反報告)
RUI(プロフ) - 修正前から拝見しておりました。この作品は私が出会った中で1番印象的で大好きな作品です。少しの間占ツクを離れていて最後に読んだのは半年ほど前でしたがほとんどの内容を知っかりと覚えていました。続きが公開されるのを今か今かと待っています笑大好きです！ (2019年8月19日 0時) (レス) id: 58d14c974b (このIDを非表示/違反報告)
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