76 いざ探検 ページ26
次の日の朝。気合いを入れてトントンさんの元へ。
「今日の午後、シャオさんと街行ってもらってええですか？」
了解です、と返事をする。ヴァレットとしての仕事では無いが、きっとこの前言っていた孤児院関係の話だろう。
「その時はシャオさんのヴァレットだと思って。それとちょこっと偉い人に会うから、ミルザのとこ行って服整えてもらい」
それと、とトントンさんがデスクから小さな箱を出した。
「なんか知らんけど、大先生が渡してくれって」
箱の上部を開くと中に見えたのは水色で丸いガラスの入れ物。その蓋をあけると半透明のクリームが入っていた。ふんわりと香り立つ匂いは爽やかなミント。どうやらハンドクリームのようだった。丁度酷い手の有様だったので有難いのだが、大先生は何故知っているのだろう。
取り敢えず会ったらお礼を言おう。
「今からミルザさんの元へ行ってもいいですか？」
「今日は特に立て込んだこともないからええで」
一礼して部屋を出る。まずミルザさんを探さなくてはいけない。ミルザさんの私室はあるのだが、基本夜にしかいない。王宮内を忙しなく動き回るミルザさんを探すのは中々大変だ。気合いを入れて足を踏み出した。
図書室、資料室、談話室を回ったが姿は見えなかった。会議室の使用予定は無かった筈。もしかしたら、と思い次に向かったのは民政担当の部屋だ。コンコン、とノックをして入室する。中にいたのは午後からお世話になるだろうシャオロンさんと、昨日ぶりのエーミールさんだった。
「お、Aちゃんやん」
「シャオロンさん、本日はよろしくお願い致します」
丁寧にお辞儀をすれば、いつも通りの様子で彼は笑った。
「そんな堅くならんでええって！」
「……ありがとうございます。実は、ミルザさんを探していて」
すると二人はあぁ、と考え込む。
「あの人必要な時は驚くほど早くパッと現れるんやけど、それ以外探すの難しいねん」
「取り敢えず軍政部屋行った方がええんちゃいます？確率的に……」
お礼を言って部屋を出る。直前にシャオロンさんに言われた午後一時にエントランス、という言葉をしっかりとメモをした。
直ぐに黒い扉の前に着き軽くノックする。はあい、と気の抜けた返事は恐らく大先生だろう。足を踏み入れれば、中には大先生しか居なかった。ふと先ほどもらったガラスの入れ物を思い出す。
「大先生、ハンドクリームありがとうございました」
「ん？あぁアレ、僕からじゃないで」
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あん(プロフ) - RUIさん» RUIさんはじめまして、素敵なコメントをありがとうございます。そのように仰って頂けて大変光栄です…！再び読んでくださったなんて本当に嬉しいお言葉です。ありがとうございます。引き続きパート3も楽しんでいただけたらと思います…！ (2019年8月21日 20時) (
レス) id: 2a14f29560 (このIDを非表示/違反報告)
RUI(プロフ) - 修正前から拝見しておりました。この作品は私が出会った中で1番印象的で大好きな作品です。少しの間占ツクを離れていて最後に読んだのは半年ほど前でしたがほとんどの内容を知っかりと覚えていました。続きが公開されるのを今か今かと待っています笑大好きです！ (2019年8月19日 0時) (レス) id: 58d14c974b (このIDを非表示/違反報告)
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