73 暑い、熱い ページ23
それでも後ろを見ない私を不満に思ったのか、彼は私の背中をツツと撫でた。突然の刺激にピクリと身体が跳ねる。ただこれで振り返るのもなんだか癪で、前だけを見て身体を縮めた。
砂漠の昼間は暑い。温度が高くなってきた部屋の中でくっついているのでじんわりと汗をかく。
「……暑いので離れて下さい」
「嫌や」
速攻で拒否されはぁ、と溜息をつく。先程からずっと背中や私の手を撫でる彼の手付きを意識すればするほど、甘い痺れが走る。
「……ッコネシマ、さん」
「なんや、まだ映画終わっとらんで」
我慢しきれず後ろを振り向けば彼は悪戯っ子のように笑った。ムッとして前を向くが彼が止める様子はない。既に映画の内容なんて頭に入ってきていなかった。
この身体の熱さは、恐らく砂漠の国の気候のせいだけでは無いと思う。ぷるぷると震える身体を抑えたくて、彼の手を掴んで握る。ギュッと力を入れて彼の方を見るも、彼は整った顔で此方を見つめるだけだった。自分の中の残り少ない理性が吹き飛びそう。手を離して身体ごと後ろを向く。そのまま腕を回せば彼は後ろに倒れた。
「っちょっと、」
側から見れば私が押し倒しているようで。身体を起こそうとすれば彼の手がそれを制止する。角ばった手が頬を撫でた。
「……いい加減にして下さい」
震える唇を開く。目が潤むのが分かる。既に私は限界だった。身体がもっと強い刺激を求めていたのは事実だった。
「スマン、苛めすぎたな」
ケラケラと笑いながら転がって体制が逆転される。ちらりとその口から赤い舌が垣間見え、そして得意げな顔をした。
「でも昼は長いからなぁ……。そんな焦ること無いんちゃうか？」
怪しく細められた眼に視線を奪われる。
窓から差し込む強い日差しに、まだ夜では無いことを嫌でも思い知らされる。全てに時間をかける彼に、いつもよりもゆっくりと時が流れる感覚。流れる汗に陽の光が当たって光る。そんな彼の姿も色っぽいと思えるほど私は彼に毒されているのだ。どちらのものとも言えない汗が混じり合う。昼間から、なんて特に暑い暑い砂漠の国ではしないだろう。元々ハレムというのも砂漠の夜はとても寒いので人肌の温もりを、という目的だったらしい。今ハレムの女としているここにいる訳ではないにしろ、なんとも言えない背徳感が心に広がった。それでも互いに貪欲に求めあった。むしろその方が逆に燃えた……なんて絶対に口には出さないけれど。
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あん(プロフ) - RUIさん» RUIさんはじめまして、素敵なコメントをありがとうございます。そのように仰って頂けて大変光栄です…！再び読んでくださったなんて本当に嬉しいお言葉です。ありがとうございます。引き続きパート3も楽しんでいただけたらと思います…！ (2019年8月21日 20時) (
レス) id: 2a14f29560 (このIDを非表示/違反報告)
RUI(プロフ) - 修正前から拝見しておりました。この作品は私が出会った中で1番印象的で大好きな作品です。少しの間占ツクを離れていて最後に読んだのは半年ほど前でしたがほとんどの内容を知っかりと覚えていました。続きが公開されるのを今か今かと待っています笑大好きです！ (2019年8月19日 0時) (レス) id: 58d14c974b (このIDを非表示/違反報告)
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