街宵。10話 ページ10
思いのほか、口から言葉がスラスラと出てきてしまった。
やってしまったと思ったのは遅く、妹の顔を見ようと正面を向いたら、妹は涙で目がいっぱいだった。
人への興味感も何も無いルナに、人とは殆ど絡んだことないのに、人と優しく接するなんて無謀なことだ。
とりあえず、妹の行動を待ってみよう。
ここで何か言ったら次は退学処分並みのことをする気がする。
流石に黙ろう。
そう思った矢先に、妹は手を上げルナの頰を殴った。
あまりの急で、想像がつかなかった行動に反応しきれず、身構えることが出来なく、後ろに倒れ込んでしまった。
最悪。
「髪、ぐしゃぐしゃじゃん……」
床に後ろから倒れ込んだため、髪はぐしゃぐしゃ。人に会えるような、ましては誰からも好かれる役者の見た目からは遠ざかった。
しかも、頰に触れると結構な強さで殴られたのか腫れてる。
こりゃ、酷いわ。
「なんで………なんでそんなこと言うんですか!!」
涙でいっぱいになった目を擦っては座り込んでいるルナを見下ろしてくる妹。
「もう…、貴方、友達誰もいなくなりますよ??」
「…。」
「みんな。貴方のことが、好きだから。近くにいるんですよ? ステージだって。うさぎさんとの演舞が素敵だから。時間を割いて、足を運んで見に来るんですよ?」
「辛い時には勇気をくれる。ルナちゃんたちが頑張ってる。私たちも頑張らないとなって。でも、今のルナちゃんたちを私達は見たくない。そんな、酷いことを言うルナちゃんなんてみんな嫌うに決まってる。輝いてるルナちゃんは一体何処に行ったの?」
「もう1回…………。"うさぎちゃん"との"最終ライブ"を見せてくださいよ………?」
ルナを殴った泉さんの妹、汐はとても怯えた目でルナを見下ろしていた。
ルナは、黙って、その言葉、行動を見ていた。
全部が嘘だったルナの世界を否定された。
ルナの中の何かが。
既に壊れそう。
今までの溜め込んだ何かが出てきそう。
此奴の前で取り乱しそうで怖いわ。
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作者名:璃菓 | 作成日時:2017年12月29日 1時