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淡い初恋の貴女へ2 ページ6

当事者の彼女はあっけらかんとしながら、横髪を指を絡め耳の後ろへ掛けていた。あどけない姿のAさんは気にしていないと小さく笑みを零すも、言葉にならない罪悪感で死にそうになる。ふと誰かが言っていた事を思い出す、髪は女の命だと…学生時代も手入れの行き届いた髪は皆を魅了し惹き付けていたからだ。

どう責任を取れば良いか、そればかりがぐるぐる…と頭の中を巡る。もう僕の事をタダで使えるコンロのように扱ってくれた方が気持ち的に楽なのに、終始気にしないでとお礼を言われてしまう始末。

狼狽えて百面相する僕を見て笑うAさんについ見蕩れてしまう、いつも誰かと馴れ合う事をせず視界に入れる事もなかったのに…穏やかに見つめ返され、会話出来ている事が幸運で奇跡としか言いようがなかったーー…こんな事を言えば困る事は分かっている、今そんな台詞を吐くのはきっと狡いだろう。けれど彼女が僕を見て目を合わせてくれる今がきっと最後の関われるチャンスだと思えば…なりふり構ってはいられない。

跪いて許しを乞うように見上げる僕に、途端顔色を悪くさせて慌てる彼女へ意を決して声を掛ける。責任を取らせて欲しいと…すると困惑気味に小首を傾げて来る為、その愛らしさに大きく胸が高鳴った。

悪魔位階(7)のバビルス教師が一介の(6)である事務員に頭を下げないで、今直ぐに立ち上がり頭を上げて下さいませ…とあたふたした声掛けに、何だかもう少しばかり困らせてしまいたくなる。今Aさんの視界を独占して表情豊かに変えているのは自分なのだと優越感に浸りたくなった。

眉を下げて立ち上がらない僕に対して既に半泣きな彼女に小さく笑う、僕が屈めば小柄なAさんを少し見上げるくらいになる。愛苦しい小動物を見ているようで何だか微笑ましい、未だ気にしていない態度を崩さない彼女に問い掛ける。

「……僕と、結婚を前提にお付き合いして頂けますか」
「……はい?」

深い水宝玉の瞳を真ん丸にさせて首を捻る、また初めて見る表情に心が躍りそうになるのを何とか耐えて有無を言わさずここぞとはがりに畳み掛けた。僕自分で言うけど、結構モテるはず何だけど…Aさんの表情はこれ以上関わりたくはないと言うあからさまな拒絶、遠慮がちな対応に見えたからだ。

案の定返事をしたつもりはないと言う視線を感じるが、今更こんな絶好の機会を逃す訳もなく僕は満足げに「必ず誰よりも幸せにしますし、貴女を一生涯護らせて下さい」と笑って口にした。

今の状況、楽しんでいませんか。→←淡い初恋の貴女へ。



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ゆいゆい - 最近イフリート先生にハマったのですが、めちゃくちゃ好みでした!!!更新楽しみにしています!!!頑張ってください!!応援してます!! (8月29日 5時) (レス) @page11 id: 40519882e3 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 次の更新を楽しみにしてます! (2023年4月19日 13時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 続きを楽しみにしてます (2023年4月13日 6時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - めちゃめちゃに好きです!続き楽しみにしてます! (2023年4月2日 23時) (レス) id: 98936ec3a4 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 次の 話しを楽しみにしてます! (2023年3月18日 20時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼空 | 作成日時:2023年3月10日 19時

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