そして私は愛弟子となる。 ページ14
「うぅ…もぅ…本当に無理だからっ…」
「駄目です、もう少しだけ…!」
屋敷の一室から悩ましげな女の声が漏れる。壁に手をつき背を大きくしならせながらも、ひと粒の涙が零れ落ちた。長い睫毛を涙に濡らし小さく首を降って許しを乞うが、容赦なく責め立てる手が休まる事はない。待って欲しい、冗談抜きで腰が死んでしまう。
「っ!んっ、んん!…まだですよ、もう…ちょっとっ!」
「あぁ、ぐっ…は、はぁ…キツぃ…っ、壊れちゃぅっ!」
「ぐっ!後、少しです…から!」
ぐぐぐっと力を込められ私は堪らず声に出した、壁にしがみつき苦悶な表情で左右に振り乱す。無理、無理…これ以上は本当に死んじゃうもの!
「あぁ、あぁあ…ぅぅ〜…っ!」
「はぁ、はぁ、はぁ…!」
終わったかを尋ねれば、まだ終わりではない事を耳元で囁かれる。たちまち小さく悲鳴を上げて喉奥を鳴らす私は恐る恐る後ろを振り返り、激しく首を横に振り心から訴え掛けた。
「ねぇ!これ以上は駄目だから!したら口から出ちゃ行けないものが出ちゃう!絶対吐いちゃうものっ!」
聞こえません、と笑みを浮かべた侍女はコルセットのリボンを掴んでギチギチと私の身体を更に締め上げた。綺麗な括れは出来るが、毎回これは勘弁願いたい。まぁ…今回ばかりは仕方ない。何でも貴族会のデビュタントの私に一目惚れしてしまったと告げて来たアスモデウス・アムリリス…13冠の一角、色頭である彼女が「是非会って話がしたいの、何ならあの子を私の愛弟子にしたいわん♡」と志願したからだ。
それを聞いた両親は驚愕し、時間を設ける場を作る事となった。それは余りにも光栄な話しだから絶対に失礼のないように…と言われたが余りピンと来ない。確かに13冠の一角である色頭のアムリリス様との面談なのだから、緊張しない方が可笑しな話しと言うもの…けれど何故関わりのない私がそんな尊き御方から見初められるのかが全く理解出来なかったのだ。
馬車の準備が出来たのを確認してから、本日アスモデウス邸へ向かう手筈が整った。侍女を従えて両親に行って来るように声を掛ける、馬車に揺られ思う事。いやはや…どうしてこうなった?
ーーー
「あぁ〜ん♡可愛い!漸く会えたわね♡」
「お目に掛かる事が出来て大変光栄です、ご挨拶が遅れました…アムリリス様」
「固いわ!アムちゃんと呼んで頂戴な?Aちゃん♡」
「……それではアムちゃん様とお呼びしても宜しいでしょうか?」
私が笑えば、満足気に彼女も笑い返した。
756人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くまのん - 最高すぎる‼‼続きがめちゃくちゃ楽しみです‼応援してます (4月7日 0時) (レス) @page23 id: 333fed96b4 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 私逆ハー大好物なので嬉しいです!魔入間のキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください! (7月11日 18時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
スズメ - めちゃくちゃ好きです‼更新待っています! (7月9日 21時) (レス) id: 333fed96b4 (このIDを非表示/違反報告)
りんか(プロフ) - え、、最高好きです、、続き楽しみにしてますっ!頑張ってください!! (2023年3月30日 4時) (レス) id: d3fb5e7475 (このIDを非表示/違反報告)
シャルネ(プロフ) - もう最高すぎて、、これからも応援しています! (2023年3月18日 9時) (レス) @page17 id: 22dcb2cbb2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蒼空 | 作成日時:2023年2月16日 11時