バブみのあるお姉様に転生したなら推しを甘やかしたい。

貴族会に参加して一悶着。 ページ10

目立つのは避けたいが、カルエゴくんと一緒にいるからそれはもう注目の的だろう。あのナベリウス・カルエゴにエスコートされているAとは一体どのような悪魔なのか、そうヒソヒソと話す姿にゾワゾワと鳥肌が立つ、嫉妬や妬みに似た視線がひしひしと感じついカルエゴくんへ甘えるように添えるだけの手をギュッと握ってしまう。

「心配するな、お前は堂々としていろ」
「……ごめんなさい」
「……大丈夫だ、何かあれば助けてやる」

ひっそりと囁かれた言葉に小さく頷く私。まさかここまでジロジロと舐め回すように見られる事になるなんて思っておらず、立ち振る舞いとか変じゃないかな？と流石に不安になってしまったり。認識阻害のヴェールやブローチ、ネックレス等を身に付けて来たら良かったと早々後悔した。しかしその怯えたような表情は一段と儚く美しさに磨きを掛けるAへどうしても話し掛けたい異性の男が沢山いるも、カルエゴは一睨みして牽制する。あからさまで過保護にAを護衛するカルエゴの姿に、カルエゴを狙っていたであろう片想いを募らせていた女悪魔達は一方的に失恋したりと、内心はかなり忙しない貴族会が始まったのだ。

ーーー

遠くにいる両親から呼ばれ、一度カルエゴから離れたAは大人の悪魔へと深々美しいカーテシーをした。ほう…と見惚れ吐息が漏れる大人達は初めましてと微笑む。自己紹介で長い横文字の名前を呪文かな？と何とか顔と名前を一致させて、顔にはおくびにも出さずにこやかに対応する。その完璧とまで言われる返答や所作は既に大人顔負けで、全く嫌味ったらしく見えない姿に皆がAを見つめている。

貴族会はバロックダンスも求められる、いの一番にダンスの申し込みをしようと狙う男達にぞわりと背筋が震える。帰れるなら帰りたい…貴族会は苦手だ、弱音を吐きたくないが助けて欲しい。そう震える両手を握り締めて何とか笑みを作る。するとこちらに跪いて手を差し伸べる男がいた…恐る恐るそちらを振り向くと、終始ずっと控えていたカルエゴくんが射抜くような視線でこちらを見上げている。

「お嬢様、もし貴女が私の願いを聞き届けて下さるのなら…一曲私と踊って下さりますか？」
「……カルエゴ、くん」

大丈夫だ、何かあれば助けてやる。先程の言葉を思い出す、私は安心したような顔をしてからそっと手を添えて「はい、こちらこそ宜しくお願い致します」と笑みを零し、ダンスホールへエスコートされてバロックダンスを開始した。

貴族会に参加して一悶着２→←エスコートの予約はハンカチを手渡す２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す