バブみのあるお姉様に転生したなら推しを甘やかしたい。

あら…私、これでも負けず嫌いですのよ４ ページ31

悪魔(ひと)気の少ない場所で立ち止まったAは涙を拭いこちらを見る、カルエゴは目を見開いてゆっくりと傍へ近付き大きくため息を吐いた。Aは茶目っ気に笑っており、全て演技だった事に気付いたからだ。

「全く、お前と言う奴はいつもいつも…」
「ごめんなさい。だって無闇矢鱈で女子生徒を頭ごなしに罵ったとなれば、公爵家の令嬢の品位を疑われ傷が付いてしまうもの…」
「だからあの時突然泣いたのか…ならば俺には事前にそうすると報告しろ。突然泣かれた俺の身にもなれ」
「敵を欺くには先ず味方からと言うでしょう？……でも心配して後を付けて来てくれたんだよね。ありがとう…カルエゴくん」

焦った推しの顔は大変可愛かったと心の中のメモリーに記して置こうと思う。まぁ…何と言うか。普段淑やかで人前では泣かず気丈に振る舞う令嬢が、涙を流し訴えたとなればある事ない事を言われ囁かれた噂は直ぐに消えるだろう。後の処理など私はどうでも良いし興味もないが、公爵令嬢を罵ったのだから女子生徒はまともな学校生活は二度と送れないはずだ。何より目の前のカルエゴくんがゴミを見る目で見下ろしていたから話し掛ける事すら無理だろうね。自業自得である為同情の余地はないけれども。

「私は寧ろ優しかったと思うけどね…」
「……」

それは間違いないが。そうカルエゴは内心思う。Aは公爵令嬢だ、彼女の何気ない一言で周りは命に替えても遂行するだろう…それこそ女子生徒の人生一つ社会的、肉体的にも易々と抹殺出来るのだ。公爵家とは厳格たる貴族の称号であり、それを胸に刻みしっかりと理解しているAは公爵家に相応しい令嬢と言えるだろう。

「化粧が崩れたからまた直さないと…」
「余り気にする程でもないが…」
「いや…カルエゴくんは直ぐ私を甘やかすから駄目だよ？」
「……は？」

無意識か。なんだかんだ言いつつも推しがいつも私を甘やかして来るから困る、余り気にする程でもない。と言う意味は、化粧をしたところでいつもと変わらないが？と言う失礼極まりない意味ではなくて……お前は泣いていても変わらず可愛いよ。と言う言葉に変換するからだ。それもこれも長年の付き合いで分かると言うもの、つまりカルエゴくんってツンデレなのかな？余計な事を喋れば頭を鷲掴みされそうだから口が裂けても言えないが。

「だが、少し意外だった…Aがあそこまであの女子生徒に対しムキになるとはな」
「あら…私、これでも負けず嫌いですのよ？」

やっぱりうちの子が一番可愛い。→←あら…私、これでも負けず嫌いですのよ３

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