バブみのあるお姉様に転生したなら推しを甘やかしたい。

家の執事長とメイド長は私の過激派。 ページ18

またその男が近付いて来る可能性もあるから、なるべく一人にならずに気を付けた方が良いだろう。と言う助言を貰い屋敷前まで馬車を寄せて貰う、そのままカルエゴくんは家へ帰るのだろう。執事長がドア前で手を差し伸べており出待ちしている、お帰りなさいませ…と会釈しお荷物をお持ち致しますね？と目を細めていた。私はドレスの裾を持ち上げて足を置く小さな階段のようなもの、名称ステップに脚を降ろし執事長の手を取った。馬車を見上げて微笑むとカルエゴくんへ話し掛ける。

「今夜はありがとう、楽しかったわ」
「それは何よりだ、だがその手首はまた後で診て貰え。強く掴まれて痣になっていたからな」

控えている執事長がピクリと反応した、じっ…と私の手首に視線が集まる。後で根掘り葉掘り聞かれる事だろう、家の使用人達は物凄く過保護で優しいからだ。それにしては殺気のような雰囲気がひしひしと背中に刺さり執事長、かなり怒ってるなぁ…と苦笑いした。

見送るカルエゴくんに手を振って、メイド長から上着を掛けられ屋敷内へ入って行く。そして二人はにっこりと笑みを浮かべながら口を開いた。

「先ずはお帰りなさいませ、お嬢様…お身体が冷えておりますね。湯浴みの準備は出来ておりますので、こちらへどうぞ…その間に暖かい魔茶を準備致しますわ」
「そして全て終わり次第、その包帯を巻かれた手首の件について…私めにお教え頂けますか？」
「ﾋｪｯ…」

ーーー

ドレスを脱いでメイドに身体を洗われ、ティーセットを置いてあるワゴンを引いて現れたメイド長から魔茶を受け取り至れり尽くせりな状況で執事長から洗いざらい聞かれ全て吐いてしまった。彼はきっと拷問官、刑事とかに向いているかも知れない…それ程までの見事な手腕だったと褒めたい。

「なるほど、あの愚息ですか…」
「お嬢様にあんな手紙を差し出した挙句、傷物にするだなんて…少々仕置が必要ですわね？」
「二人共怖いから落ち着いて頂戴な…」

後、傷物って言い方はちょっと嫌だし語弊がある。私はまだ生娘だし、俗世間では処女ではない女性の事を指す為その言い方は違う。但し苛立つ気持ちを何とか抑え込んでいる二人にそんな事を言えるわけもなく、視線を逸らしつつ魔茶を一口飲み込んだのだ。

「おいたわしやお嬢様…貴女様の色白の肌にこんな酷い痣が…」
「やはりお灸を据えるべきかと。爵位剥奪、実家を取り潰し…」
「そこまで酷くないし…執事長はやり過ぎだから落ち着いて？ね？お願いだから」

バビルスへ入学し、推しを踏み付けてしまった。→←変態の思考回路は理解し難い。

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