バブみのあるお姉様に転生したなら推しを甘やかしたい。

変態の思考回路は理解し難い。 ページ17

馬車に揺られ、手首をカルエゴくんに治療して貰っていた。使用人から受け取った救急箱から軟膏を取り出しそこを重点的に塗布すると包帯を巻かれる。

「犯人の目星は付いているんだろう」
「手紙を貰った人だと思う、ただ名前は知らなくて…」
「……さっぱり理解出来んな、お前は送り主の名前を読まないのか？」
「それは確かに読むけど。でもその悪魔(ひと)は、何と言うか特殊で？どんな手紙も全て燃やし処分されていたから…」
「ほぅ？それはまた随分と過激な内容だった見たいだな、例えばどんな内容だったのか教えてくれないか？」
「例えば…読んでいて余り良い気はしないけど、本当に聞くの？」

暇つぶしに聞きたいのだろう、こちらを見て長い脚を組むカルエゴくんは頷いた。私はぽつりぽつりとありのままの手紙の文字を口にする。

「貴女の翼に触れて温もりを感じたい、尻尾の付け根を触らせて欲しい…貴女の髪質は家系からして黒だろうか。それを一本でも良い。私に欲しい…どうか持ち歩かせて欲しいのだ。例えば貴女の肌が鱗や羽で出来ていたのなら…どうか鱗や羽を剥がさせて、ブローチを作りたいと…」

Aは徐々に縮こまり声も小さくなってしまう、それを聞いていたカルエゴは愕然としたし目眩や吐き気を催した。いつの時代も変態や変人はいるものだが、これは既に度が過ぎている。Aへ密かに片想いを募らせるカルエゴの心境からすれば、黙っていられない案件だった。

「すまない。まさかここまで酷いとは…無理に言わせてしまって…」
「いや、大丈夫…正直あの綴り文字にはゾッとしたけど、聞いて貰えるだけ気が楽になるもの…」
「あぁ、そう言って貰えると助かる。だがしかし…全くもって考えられんな…」

セクハラ、翼に触れるのを嫌がる者は多くいる。ましてや尻尾の先端部ではなく、尻尾の付け根と発言しているところを見ると悪質だった。悪魔は付け根が性感帯だから触らせようとする相手は、本当に大好きで一生涯添い遂げるくらいの悪魔(ひと)以外は触れる事など言語道断。髪を持ち歩きたい…それは黒魔術とかで好きな人と愛し合う、又は呪いたいと願う相手に使うものだ。分かっていて上げるような変わり者はいないだろう…知らなくても「髪の毛頂戴？」「良いよ！」とはならんだろう。最後羽や鱗で出来ているならブローチにしたい…それはただのサイコパスである。ここにシチロウくんがいたら大激怒間違いなし。鳥魔族には絶対言ってはならない禁句だ。

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