第五十四節 ページ16
｢うわぁ……。またセイバーギルが無双してる｣
｢そこについては突っ込んだら負けです先輩｣
｢そうだよね……、そうする。俺は何も見ていないよマシュ｣
何だか2人に失礼な事を言われている気がするのですが果たしてこれは気の所為でしょうか。仕方ないじゃないか、だってこんな戦えるとは思ってなかったんだもん！流石英雄王の霊基、万歳！なんでも出来るし直ぐ動けるし武器は使いやすいし。これで何もしないとか出来るわけ無いです。
そうぶつぶつ心の中で言いつつ、エネミーを切り刻み、刺し、潰す。そこに慈悲も容赦も無く、ただ単純に任務遂行の為に動くだけだ。あれが英雄王だったのならば愉悦とか言ってあんまり動かないのだろうけど、私はそういう人間では無いので真面目に取り組みます。私ったらなんて偉い。
｢それにしても……。物凄く視線が痛いのだが｣
そう、何か物凄く視線が自分に刺さっている様な気がするのだ。主に3人から。あれ、多いぞ？多過ぎませんか？
一人は純粋な心配、もう2人はよく分からないけれど何か面倒な事になりそうな不思議な視線。そんなに見られては出来るものも出来なくなってしまうから見ないで欲しいのだが、今そんな事を話す余裕もない。幾ら英雄王の霊基だとは言え、中身は普通の戦いなんて経験したことの無い凡人だ。そんなのに気を掛けていたらきっとエネミーにやられる。絶対やられる。
ほら今、こちらに駆け出して来たエネミーに対応するのが遅れてしまった。目の前に迫るボロボロになった剣を慌ててエンキを押し当てて、力技で吹き飛ばす。そのまま一気に距離を詰めてエネミーの身体に突き刺せば相手は光と共に消えていった。何とかなったみたいで何より、ほっと一安心。
それにしても、この視線の痛さが何ともやりにくいったらありゃしない。もうとっくの間に集中力が途切れてしまっているし、後で小言でも言っておかないと気が済まないかも。よし、これが終わったらそんなにじっと見ないでと言うことにしよう。
そうやって、戦場だというのに考え事をしていたのが悪かったのだろう。
「ッ、セイバーギル、後ろ！！」
焦りの滲む叫び声は、マスターのものだ。その言葉の意味を認識し、後ろを振り向いた瞬間。
ぼたりと落ちるのは、赤い何か。
腕に刺さるのは、切れ味の良くないはずの錆びたナイフ。
鋭い痛みが自分の腕から全身へと駆けていた。
続く (更新停止中)
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暁月琥珀 - 続きがみたいです、、、！！！ (10月25日 12時) (
レス) @page16 id: 07fe1f8faa (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - とても大好きです!!!!!もう更新はしゃはらへんのですか？ (2023年4月17日 1時) (レス) id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
蓮城瑠夏(プロフ) - 一気読みさせていただきました！！にょたギルサイコー！！更新お待ちしております！！！！！！！ (2023年2月19日 10時) (レス) @page16 id: 5600ed0ad1 (このIDを非表示/違反報告)
弱小なイカ(プロフ) - コメント失礼します。素敵な作品ですね！キャラの口調も丁寧に再現されていてとても読みやすいです。今後の展開がますます気になります！更新楽しみにしておりますね！作者様も無理のないペースで頑張って下さい！ (2022年4月28日 7時) (レス) id: b0ea0b2876 (このIDを非表示/違反報告)
アウル(プロフ) - すき…更新頑張ってください。 (2021年6月11日 11時) (レス) id: 33561a1a70 (このIDを非表示/違反報告)
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