2. 僕と元同級生の話 ページ3
Aはロボットファイトをしたかったらしい。
よく見たら手とか膝とか絆創膏とか包帯が巻かれてた。なんか…すごく不器用らしい。
後でわかったことだけど、Aは弟がいたんだ。頭のいいね。
その子がロボットファイトにはまってるのをやめさせたいんだって。ロボットファイトはお金をかけたら違法だから。
でも、だからってどうして僕に頼るかはわからなかったよ。
他にいくらでも適任者はいるだろうし。
弟君はAとそう歳の差もないし、すぐ勝てるって思うよね、普通は。
まー、Aの不器用さと言ったらないよ。もう、ある種、才能に近いね。頭は悪くないんだけど、なんていうのかな、…センスがない。
その点、Aの弟君の方は…そうだね、僕から見て才能があると思った。そこらの下手なロボットに比べれば。でもゼロベースで作ってる訳じゃない。あくまで既存機能を組み合わせて、少しばかりカスタマイズを入れているだけだ。
Aはその辺はわかってるんだけど…、こう設計書は理解できるけど、形にするところで不器用で。三次元がダメなのかな…
ああ、ごめん。話がそれたね。
えっと、どこの話だっけ。そうだ、弟君の話、それでAが僕に頼ってきて。僕は面倒だったから断りたかったんだ。
だから、もしアドバイスが欲しいならこの問題を解いてみなよってAに問題を出したんだ。大学入試に出るような数式をね。
「これが解けたら、君に力を貸してあげてもいいけど?」
「ありがとう!!」
その時のAったら、まだ手助けしてあげるって決まったわけじゃないのに飛び上がるほど嬉しそうでさ。
うん、…嫌な気持ちになる人間なんていないよ。
あの学校で、そんな風に必要とされたことなんか、なかったからね。
いや、別に、必要とされたかった訳じゃないよ。誰かに利用されるのはまっぴらだし。
で、Aは翌朝またやってきたんだよ。
「先生、解けました!!」って。
なんか犬っぽかったよ、しっぽ振って飼い主のところに来てる子犬。
しかもその答案、あ、レポート用紙だったんだけど、まあまず、答えは合ってたよ。
「ズルはしてないよね?」
と言っても、僕が作った問題だからネットに答えがある訳ないんだ。そこそこ難易度は高いよ、単なる公式じゃなくて自由な発想を見る問題にしてたし。
「し、してないです!」
「敬語はいいよ、同級生なんだから」
「あ、うん!」
「解いてきた証拠の途中式は?」
で、出された答案なんだけど…
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ナイトメア - こんにちは!まさかみやさんのヒロ夢が見れるなんて…!と興奮を押さえ切れません((落ち着け 小生意気なかんじがまさにヒロですね!いやもう大好きです!笑続き楽しみに待ってます! (2015年5月29日 18時) (レス) id: aaf2064d77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みや | 作成日時:2015年5月24日 1時