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しかしそんなの全く気に留めていない様子で
バーンズさんはこちらへ手を差し出すと
"お手をどうぞ"なんて言わんばかりに、穏やかな笑みを向けた
『っは、…はい…』
これがトニーだったら
"自分で歩ける"って間髪入れず否定するけど、相手が相手だからそんなこと口が裂けても言えない
再び触れることになる彼の手にかなり気が引けつつも、その手を取る以外の選択肢など残されていなかった
私は、恐る恐る彼の手にそっと自分の手を乗せると
バ「段差、気をつけて」
なんて、バーンズさんはゆっくり足を進めてくれた
『…ごめんなさい、歩きづらいですよね』
会場に着く間も、そして今もそうだけどキャプテンとバッキーさんは自分たちとはかなり体格差のある私の歩幅に合わせて歩いてくれていた
しかも慣れないインチの高いヒールなんか履いているせいで、速度もいつもより遅めだ
情けないことに、下手したらすぐに転びそうで
ただの階段でも慎重に足を進めざるを得ない
転ばないように、転ばないように、とつい足元に気を取られながら
彼に申し訳なさを伝えると
彼はあろうことか、私の顔を覗き込んできた
『！』
バッチリ目がってしまい
あまりにもびっくりして、下を向いていた顔を思わずガバッと真正面に向けると
バ「気にするな、俺も気にしていない
ちゃんと支えてるから、そうやってしっかり前を見て歩け」
と言って、お互い触れていただけの手を彼はぎゅっとしっかり握った
『…はい』
体だけでなく、心まで姿勢を正されたような気がした
さっきまで目が合うだけで、彼の近くを歩いているだけで、ましてや手を触れるなんてことさら恥ずかしくておどおどしていたのに
不思議と、握られたその手から伝わってくる体温が暖かくも心強かった
一段、一段と降りていく、ものの数十秒のその動作が何倍にも感じるくらい、過ぎる時間が長く思えた
そして、最後の一段を降りきる直前
ガクンッ
『…っ！』
思いっきり踏み外して、足のやり場が崩れてしまった
このままじゃ体勢を崩してしまう…！
体勢を立て直すくらい、普段なら容易なはずなのに
今日ばかりは違った
ヒールの踵が床を滑り、上体が倒れていくのがわかる
転ぶ…！
思わず、握られていた手に自らもぎゅっと力を込める
グイッ
するとどうだろうか、何かに引っ張られた反動で
倒れかかっていた上体は上向きに起き上がり
床を滑った脚も何かにぶつかり支えられた
バ「大丈夫か？」
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時々雨(プロフ) - 更新されることはもうないのでしょうか……。他のMARVEL小説も読ませて頂きとっても幸せでした！もし続きがあるならキャプテンとはどう吸血しているか描写が気になります！ (2022年1月27日 1時) (
レス) @page23 id: 6532c97378 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mei (M-tAnt) | 作成日時：2021年8月28日 2時
