あの国民的アイドルの妹は...。１３ (ページ30)

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( 柚花視点 )

［今日会いたい］

初めてだった。
あの人からこんなにストレートな文章が来たのは。

...耕平さんから。

名前で呼ぶように言われてから、呼ぼうとしてもどうしてもつっかえてしまう。

新鮮すぎて呼び捨てでは呼べずにさん付けだけど。

［夕飯作ったから一緒に食べよ］

［え、本当に？嬉しい。家に行くね？］

［待ってる］

誘われてルンルン気分で準備をして家に向かった。

メイクをして、いつもより少しおしゃれして。

お泊まりをした以来だけど、すごく鮮明に覚えていて迷わず辿りつくことができた。

エントランスで部屋番号を押す。

...本当に一回しか行ったことないのによく覚えてるなぁ、私。

『はい』

「着いたよ～」

『え？』

「あ、来た？」

近くで鮮明に聞こえたのは女の人の声。

びくっとして横を見たら背の高い綺麗な人。

「耕平の彼女です。柚花ちゃんよね、耕平の周りでうろちょろしてる女って」

耕平さんがとぼけたように「え？」と私に聞き返したのは、私が来ることを知らなかったのだろう。

耕平さんの声はもう聞こえなくて多分ここに向かってるんだ。

...騙された。

家に一回しか行ったことないのにその配慮がなかったのと、迎えに来てくれないことに疑問を抱けばよかった。

だって耕平さんは優しいし、いつも迎えに来てくれるし。

でも、

私は耕平さんにも騙されたのだろうか。