あの春、君と。 (ページ49)

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T side

玉｢とりあえずさ、連絡先教えてよ｣

なんとか俺の今日の目標達成。

その後はありがとうと今度ご馳走させて

を何度も言いながら

車を降りていった。

アパートに入っていく君を眺める。

そして部屋に入ったことを確認して

運転席に戻るため

一旦車を降りようとすると

手に何か触れた。

ケータイ？

あれ、このケータイカバー

絶対Aちゃんのだ。

タイミング悪く

そのケータイがメッセージを受信する。

わざとじゃないし。

けど目に入ってしまった。

その送り主の名前はミツだった。

内容まではさすがに悪い気がして

見れなかった。

ケータイないとやっぱ不便だよね。

車を降りて

さっき君が入っていった部屋を目指す。

ゆっくり階段を上がりながら

こんな時間にピンポンを押して

はたして出てくれるのだろうか。

出てくれないとケータイ渡せないし

あっさり出てくれても不用心で

それはそれで心配だな。

意を決してインターホンを押す。

ピンポーン

、、、

だよね。

その警戒心は褒めたいけど

出てくれないと困るのはAちゃんだよ？

ピンポーン

ピンポーン

ピポピポピポピンポーン

ピンポーン

ガチャ

｢玉森さん？！｣

玉｢さっきぶり(笑)｣

俺はそのケータイを人質に

ご飯の約束を取りつけた。

今度の金曜日は

生放送のラジオが最後の仕事だから

長引かないはず。

平静を装ってバタンとドアを閉め部屋を出た。

ねえ待ってよ

部屋着とか反則じゃね？

てか

ヒール脱いだら背が少し低くなってて

そこもたまらなく可愛かった。

少しモコモコした

肌触りの良さそうな部屋着を身につけた君を

長居したら抱きしめてしまいそうだった。

ニヤニヤしてる自覚はあるから

口元をおさえながら

車に戻る

そこで初めてマスクもせずに

外を歩いてることに気づいた。

浮かれてんなー俺。

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