あの春、君と。 (ページ41)

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心地よい洋楽がBGMの車内

しばらく走ると

あ！と玉森さんが急に声をあげる。

宮｢ビックリしたー(笑)どしたの？｣

玉｢俺何も考えずに宮田んちに向かってたわ｣

宮｢え？ダメなの？｣

玉｢Aちゃんちってどこらへん？｣

｢あー、、ちょっと方向が違うかな｣

玉｢まじか、、

んーでもここまで来ちゃったし

先に宮田んちに行こうかな。ごめんね？｣

｢全然！こっちこそ

私の家方向違うし玉森くんが帰るの

すごく遅くなっちゃう。ごめんね？｣

宮｢なんか謝りあってて

付き合いたてのカップルみたい(笑)｣

玉｢黙れ宮田｣

｢(笑)｣

宮｢ありがとう玉！

じゃーAちゃんまたねー｣

バンっ

玉｢よし、じゃー行きますか｣

｢住所言ったほうがいい？｣

玉｢おけー。ナビに入れるわ｣

テンポよくナビに入力していく

白くて長くて細い指につい見とれてしまう。

あ、ピンキーリングしてる。

玉｢ここらへんで合ってる？｣

言いながらナビを指さし振り返る。

私は腰を浮かしてナビをのぞき込む。

｢うん！合ってるよ｣

元の位置に戻ると

玉｢しゅっぱつーー｣

｢お願いしまーす｣

心地よい洋楽が心を落ち着ける。

玉森さんが話しかけてこない。

いつもの私なら

私から話しかけてたはず。

でも今日はやっぱり

少しだけ心が疲れた。

今日の北山さんの様子がフラッシュバックする。

目の前で他の女の子と連絡を取ってるのを

笑顔を作って見て見ぬふりをしてた。

見ぬ振りしか出来なかった。

ぬるくなったミルクティーを1口飲む。

今こうやって思い返しても

その時点で私に出来ることは

もう残ってなかった気がする。

ふーーー

ゆっくり息を吐く。

優しい玉森さんの運転の振動

香り

ミルクティーの甘み

それにアルコールが加わって

浅い眠りへと導かれる。

玉｢ーーーーー｣

玉森さんが何か話しかけてくれた気がするけど

もう意識を手放す寸前で

聞こえてるよ、とアピールするため

｢うん。｣

と言うのが精一杯だった。

そこで私の記憶は途切れた。

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